« 蜘蛛ちゃん | トップページ | 「安達原」 »

2006/10/27

三響會

どうしても行きたかった「三響會」、なんとかチケットが手に入り、行くことができました。
なにごとも諦めるもんじゃありません!(笑)行けて本当に嬉しかった〜!

今回の私のお目当ては、亀治郎さんのしばらくの見納め公演であること、そして「安達原」を歌舞伎とお能の双方で並べて見れる!これに尽きました。
そしてこれは期待通り、心行くまで満足できるじつに素晴らしいものでしたが、加えて最初の演目「囃子競演」もまた素晴らしかったです。
まずはその「囃子競演」の感想を語ろうかと(笑)

囃子競演は、もともとお能、歌舞伎などに従事している方に、林英哲さん(太鼓)をゲストに迎え、様々な視点から構成した楽曲を流れるように次々と演奏していく趣向のものでした。
あまり古典芸能に詳しくない私としては、歌舞伎でみる囃子方の演奏が唯一の音源なのですが、そこで使われる以外の、(私の)想像以上の音の拡がりを感じさせていただき、たいへんな収穫でした。
シンプルな太鼓の音、笛の音だけの流れから、まるでオーケストラを思わせるような壮大な楽曲まで。(あー音楽用語のボキャブラリーがないのがうらめしい!)
とても聞きごたえがあり、ストーリーを感じられて楽しめたし、音の響きの荘厳さも観じることができました。

もともと芸能は、神への「奉納」あるいは「神事」から出発していますが、ことに音楽は「空気に音を響かせる」ことで、「場」の「気」を変化させる役割を持っていたと思うのです。
この演目の「一番太鼓」はまさにその役割をしていると感じさせるものでしたし、そのあとに流れるように始まった林英哲さんの大太鼓の独演も、ものすごい音の波動でした。
そうして、劇場内の空気(振動波)を一気に高めたのちに、尺八や笛、お琴など他の楽器が流れ込んできて、そののちにオーケストラのような厚みのある構成の曲へと変化していきます。

こうした楽器のみでオーケストラのような音、というのも私にとって新発見でしたが、導入部の太鼓によって引き上げられた波動の高さゆえに、尺八や笛一本の演奏などから比べるとエンタテイメント性の高い「オーケストラふう」演奏部分も、どこか空気が「神事」の気配を残しているのです。
これがとてもフシギでした。
なぜかと私なり考えてみたところ…。

エンタテイメント性のある楽曲構成と異なる点は(無知なワタクシがただただ観じたことなので、いち個人の感想とわりきってください)音と音の間に隙間があること。
「音」が消えた空間に、「音」が残していった空気感(振動)を、十分に感じさせてもらえるだけの隙間があるのです。
「無」の部分といいますか。。。
これが、高い振動波を生み出すエネルギーになっているのかと観じました。

じっさい、大太鼓の音と音の間の響きのなかにかもしだされる空気感は、なんとも荘厳なものがありました。
その空気の緊張感を楽しみつつ、次の音がいつくるかと耳をすましてしまったり。
打ち出しの太鼓の音も、始まりの合図なだけではなくて、場の振動波を上げる(=神に近付く)役割があるのではないかと、今日の音を聴いてあらためて観じましたし。

そんなわけで、いままでちょっと敷居が高かった古典芸能の囃子について、自分が肌で観じるものを得られたということが、自分にとってとても大きな経験になりました。
ほんとうに、行けてよかった!と思える「三響會」の演目でした。
「安達原」にもいたく感動したので、またあらためて(アツク)語りたいと思います。笑。

« 蜘蛛ちゃん | トップページ | 「安達原」 »

コメント

>みゅぅさん、本当に。いい経験いたしました。経験と直観は宝物です。

こんにちわ。
和の音、落ち着きますよね。落ち着くんだけれど、背筋が伸びるような緊張感があるし、本当に独特です。洋の音とはまた違った迫力や雰囲気がありますね。
全く関係ないのですが、私の結婚式は神前でした。ウェディングドレスより白無垢に憧れていたんです。で、結婚式場の中にある神殿で行ったのですが、音楽が生演奏だったんです。何と言う楽器か分かりませんが、神職さんが生で吹いてくれました。とても良かったです。実は吹いてくれるまで知らなかったので(そこまでこだわりがなかったんです)、嬉しかったです。やっぱり、録音した音とは違うんだろうと思います。空気が引き締まりました。本当に厳かな雰囲気で式が進みました。
音1つで、その場が変わるのだから、音にはすごいチカラがあると思います。mamiさん、良い経験しましたね。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/106794/3978324

この記事へのトラックバック一覧です: 三響會:

« 蜘蛛ちゃん | トップページ | 「安達原」 »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

お気に入り☆BOOKS

  • 小川洋子: 「ブラフマンの埋葬」
    ブラフマンという不思議な生き物に関わった私の、ゆるやかな変化の物語。
  • 吉本ばなな: 「デッドエンドの思い出」
    シアワセとフシアワセの境目ってなんだろうかと、そのボーダーラインの不確かさはむしろシアワセな贈り物なんじゃないかと思わせてくれた作品。
  • 駒形克己: 「空が青いと海も青い」
    ぜんぶ広げると1枚の紙になってしまう、不思議な絵本。広げたり畳んだりしてみるとまた、構成が変化しておもしろい。書いてあることは、一言なんだけどけっこう科学的。
  • イワサキユキオ: 「Say Hello! あのこによろしく」
    どのページを開いても、満面の笑顔になっちゃう。笑顔なのに、ウルウルしちゃう。子犬たちの成長が、愛情たっぷりの写真で綴られています。
  • 川上弘美: 「椰子・椰子」
    ありえなさそうなんだけど、ありえちゃうような不思議な日々を淡々と過ごす「私」のへんてこりんなお話。山口マオさんのイラストも可愛い。
  • 西岡常一・小川三夫・塩野米松: 「木のいのち 木のこころ 天・地・人」
    寺社建築に携わる二人の宮大工の棟梁のお話。宮大工という未知の世界の話はとても興味深く、また「真」をみるということは万事共通なんだと感じ入りました。

最近のトラックバック

無料ブログはココログ