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2007/02/27

調べくらべ♪

三響会を主催する三兄弟の会に行ってきました。
伝統文化セミナー「能と歌舞伎の音楽の魅力」@内幸町ホール
でございます。
去年の三響会の時も「安達原」を能と歌舞伎の双方で見比べて、たいへん興味深かったのですが、
今回はその名の通り、レクチャーのあと実際にパフォーマンスしたりして、わかりやすくて有意義かつ贅沢なセミナーでした。

内幸町ホールは200人くらいしか入れないと思われる小さいホール。
こんなところで件の三兄弟のお話と演奏をきけるんてー!
しかもゲストは、歌舞伎方は春猿さん、お能方は喜多流・大島輝久さん。
それにもちろん三兄弟では囃子方の楽器が足りないので、太鼓や鼓はもちろん笛・三味線・謡のメンバーも登場し、いやはやとっても贅沢なセミナーでございました。

前半は、三兄弟による楽器の説明、かけ声や楽器の構成などの能と歌舞伎のちがい、などなどをパフォーマンスを交えて行ったのですが、
鼓や太鼓を、客席によくわかるように見せ、その上で部位の説明やら音の出るしくみやらを説明してくださるので、ふんふんなるほどあのように打つとああいう音になるのねと、よくわかったような気分になりました。
また、囃子方の能と歌舞伎での演奏の違いを見せるために、同じテーマで2曲続けて演奏してくれたのですが
(このときの囃子方は、お能チーム・ご長男の亀井広忠さん+小鼓・笛、歌舞伎チーム・次男の田中伝左衛門さん三男伝次郎さん+大鼓・笛・三味線)
よくわからないけど、ゼンゼン違う!というのだけはわかりました。
因に同じテーマ、というのは「かけり」というものでこれは能でも歌舞伎でも、魂の叫び・ひびきというものを表現するのだそうです。(あーでもこのあたり、よくわからない…調べてみなきゃ)
調べの組み立てとしては、能のほうがジャズセッションのような即興に近いもので、簡単な言葉で下打ち合わせをしてあとは呼吸とかけ声であわせるそうです。
いっぽう歌舞伎のほうは、囃子方の人数も多いだけに調べはある程度構成されているようなのですが、でも基本的には呼吸でよみとって演奏するそうです。
呼吸で演奏するので、指揮者はいらないし、奏者がバラバラな方向を向いていても合わせられるとか。で、お三方全く別々の方向を向いて演奏してくれました。(広忠さんは、「じゃ僕は後ろ向きで…」と言ったところ二人の弟さんに「お客さんにおしりを向けるのー?」と反論され、前を向いてましたが、どうしても後ろ向きになりたかったらしく演奏が始まるとすぐに後ろ向きになってしまいました。笑)
なるほど息はぴったりで、呼吸で演奏する、というのがなんとなくわかった感じがしました。

後半は、ゲストの春猿さん大島さんを舞台に招いて、演者のちがいを説明。
まずは基本的な「立ち方」。
これは、大島さんが能の立ち方歩き方を披露しつつ説明してくださったのですが、常に体のすべてが違う方向にいっているように意識する=前後天地を常に意識することによってすべての事象とつながりひろがっていくこととなる、のだそうです。
なるほどそう言われてみると、上半身は前傾姿勢だけれど腰は後ろに引け、顔は上を向く。
かなり無理な姿勢のような気がしますが、確かにいつも反対の方向に同時に力が働いている。
な、なんだか立ち方ひとつとっても哲学的。。。具体的に何かを表現するというより、抽象性の積み重ねで「空間」を表現するのだとか。
いっぽう春猿さんは女形なので、その立場での「立ち居振る舞い」を実演。
歌舞伎の方は、具体的な動きの表現で、でも女形の場合「女性」を表現するのではなく「女形」という女性を、表現すると。
今日はセミナーということで、みなさん衣装は着物に袴だったのですが、その衣装でも「お姫さま」「町娘」「芸鼓さん」の歩き方を、一目瞭然わかるようササッとやってのける春猿さん、素敵です。
こういった両者の違いを「型としての泣き」「発声」「舞」と、多岐にわたって見せてくれました。

私は知識が浅いので、ひとつひとつに対してほぉーっ!と感心していましたが、詳しい方にも楽しめたのではないかと思います。
今まで知らなかった楽器のあれこれ、演奏の呼吸のことなど、また歌舞伎や能を見たときに、いっそう楽しめそう。
余談ですけど、今回はこじんまりしたホールで、三兄弟によるレクチャーで、パフォーマンス部隊も日頃親しくしてる方たちが集まっていたようで、なんだか普段着の気のおけなさ加減も伝わってくるような雰囲気でそれもまた楽しかったです。
ことに、亀井広忠さんは、お能の方なので私は今まであまりお見かけしてなかったのですが、なんだかとても自由な方のようで、今日もクスッと笑っちゃうようなお茶目なところを何度も見せてくれました。
(歌舞伎では楽器をかけもちしたりするけど能ではひとつのみ、とまじめに熱く解説している時に「でも、踊りも唄も好きなんでしょ?」とふられ「うん!大好き」と満面の笑顔になっちゃったり、弟二人がまじめに進行してる中すごいマイペースだったり…笑)
そんな面と、演奏してるときの厳しい表情にギャップがあって、なかなかポイント高し!でした(笑)。
春猿さんは、みなさんが紺とかグレイ系の着物・袴の中、おひとりだけ明るい藤色の出で立ちで登場されたのですが、宝塚の男役スターみたいでした(笑)色白だし顔小さいし茶髪だし。皆さんにも「ちょっと違う」とか言われてたし。女形だって知らない人でも、女役をやる人だってわかるでしょうね。そんな春猿さんが、弁天小僧菊之助の、あの有名な台詞を読んでくださったのは、ちょっとお得な気分でしたね。

…そんなことで大変満足したワタクシ、またこんな機会があったら漏らさず参加したいなぁと思った次第ですが、こんどは義太夫とか常磐津とか浄瑠璃とか…の違いをレクチャーしてくれるようなの、ないかなぁ。
…にしても、あぁ今日は楽しかった、三兄弟様、ありがとうございましたっ!

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コメント

>SwingingFjisanさん、及ばずながらお役にたてたのでしょうか、嬉しいです(^-^)。私はすっかり三兄弟、ことに広忠さんのファンになってしまいました♪(あいかわらずのミーハー。。スミマセン)

はあ~、私めの不注意でした。春猿さんのHPを今見たら、ずっと前に何となく目にしていたような記憶が甦ってきました。バカですねえ、せっかくのチャンスを。今度からは、細い目をできるだけ大きく見開いて、チェックしますわ~。でも、今回はmamiさんのおかげで、会の様子がよくわかって(こちらも脳内映像化いたしました)よかったデス。

>SwingingFjisanさん、うわぁ、お知らせすればよかったですね。。私もひょんなことから知ったのですが…。ポーラ財団の主催のセミナーで今回が5回目でしたので、また開催されると思います。「伝統文化」ということでくくりは広いので今回のような内容かどうかはわかりませんが…。とても楽しかったし、内容も充実していましたよ!

そんな会があったのですかぁ!!! 知りませんでした。行きたかったなあ、私も。
mami さんの詳しいご報告(ありがとうございます)を拝読したら、とても楽しそうで、知らなかったこと、行かなかった(行けなかった?)ことが余計残念に思えてきました。

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