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2007/04/24

「MICK ROCK MEETS KANZABURO」

東京ミッドタウンで開催されている写真展に行く。

勘三郎さんは、私が再び歌舞伎に嵌るきっかけを作ってくださった方。
コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」を見、大人計画の「ニンゲン御破算」を見、勘三郎さんてなんてエキサイティングでロック・スピリッツを持った人なんだろうと思って歌舞伎座にちょこちょこ足を運ぶうち、「伝統」とか「型」とかの中でも革新的に歩を進めることができるんだと思い、古典の面白さにも再び大いなる魅力を感じたのだ。

いっぽうのミック・ロック。
彼は私がそのむかーし、ロック(特にイングリッシュ・プログレッシヴ、っていうやつ)に熱中していた頃、当時キラキラしていたロックスター達の写真を撮る第一人者だった。(今でももちろん第一線で活躍中)
デヴィッド・ボウイ、ルー・リード、イギー・ポップ、クイーン、みんな彼の写真の中で熱く息づいていた。
ミック・ロックのすごいとこは、被写体と撮影する側の境が全くなくて、相手と一緒に自分(それは、ミック・ロックでもあるし写真を見る私たちでもある)も呼吸しているような、そんな高揚感があることだ。(と私は思っている)

そんな二人のコラボレーションが、魅力的でないわけがない!という期待感で会場に足を踏み入れる。
期待をさらに膨らますように、壁の向うから聞こえてくる歌舞伎の舞台の音(「夏祭浪花鑑」のようである)。中村屋の紋とミック・ロックのサインが施された暖簾をくぐり、細く暗い通路の先にある暖簾をもう一度くぐると、ようやく「待ってました」の会場である。

最初のこのブースにはニューヨークでの「夏祭…」の舞台写真、それから舞台裏の写真。
そして日本での「法界坊」や「金閣寺」の舞台写真、舞台裏写真が続く。
ものすごい瞬間瞬間の連続であった舞台の様子が垣間見える。エキサイティング、ソウル、パッション、…ミック・ロックは全身でそれを感じとりながらシャッターをきっていたのだろうと想像できる。日本人のカメラマンであればきっと撮らないであろう「きめ」の直前くらいのショット、ものすごい形相で次の動きに入ろうとしてる瞬間。それらは静止画だけれども決して止まってはいない、熱い体温を持つ作品たちだった。
舞台裏も、そんな写真見たことない、というような慌ただしさ必死さ緊張感が溢れている。
そして、へえこんなこともしてたのかと思うような、開演前(後?)に会場の外に出ていってお客さんと一緒に写真を撮ったり警備の人と談笑しているひとコマ。役者さんたちの素の姿や、日本の歌舞伎役者と交流できて嬉しそうなニューヨークの人。

さいごのブースには、役者さんたちのポートレートが並んでいた。これもただのポートレートではなく、真っ赤なバックにそれぞれ思い思いの表情で写真におさまっている。隈取りでくわっと目をむきすごんでいる人、美しくおすまししているひと、ひょうきんな顔をしているひと…いずれもポテンシャルの高い、熱いスピリットを持った役者さんたちの顔だ。(これもきっと、役者さんの格というものを気にせず、自分の目についた人を好んで撮影したと思われる)
向かい側には、ミック・ロックがいままで撮ってきたロック・スターたちのポートレート。特に大きなサイズのデヴィッド・ボウイと勘三郎さんの写真が向き合っていた。
このブースで流れていたのはクイーンの「ショー・マスト・ゴー・オン」。

そう、「ショー・マスト・ゴー・オン」なんだロック・スピリットもカブキ・スピリットも。
堅苦しいとか、敷居が高いとか、思われがちな歌舞伎を、海外の(イギリス人の)カメラマンがこんなふうに躍動感に溢れる魅力的なものに表現してくれて、役者さんたちのある意味「歌舞伎ばか」な熱い一面を引き出してくれて、まったくってすごいことだと思いつつ、ミック・ロックという人はもともとそういう写真を撮るひとだったじゃないかと、改めて感じたりしたのだった。
会場の展示もドラマティックな構成で、見応えあり!の写真展だった。

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コメント

>SwingingFjisanさん、ほんとに、動いてましたよね!(^-^)ものすごく臨場感あふれる写真たちでした。勘三郎さんの個性や魅力も十二分に伝わってきましたよね!

私も昨日、行ってきましたよ♪ 写真の中の人物、まさに動いていましたよね!!! 

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