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2007/04/22

當麻曼荼羅絵解き

代官山iスタジオでの、當麻寺曼荼羅の絵解き説法に参加してきました。
當麻曼荼羅は、ご存じのとおり先月の国立劇場「蓮絲恋慕曼荼羅」の物語のモチーフとなった、中将姫伝説の曼荼羅です。もともと「絵解き」というものに興味があったのと、件の新作歌舞伎のおおもとの伝説とはどういうものだったのかも知りたくて、代官山なら近いしー、などと思って楽しみにしておりました。

以下、長いのでたたみまーす。

説法をしてくださったお坊様は、びっくりするくらい若い方で、ご紹介によると地元では有名な青年僧侶なのだそうです。いろいろなところで絵解きの修行をされ、當麻曼荼羅の絵解きを口伝にて継承されているのはこの方だけだとか。
会場には2メートル四方くらいの大きな曼荼羅がかけられていました。これは「平成當麻曼荼羅」といって、中将姫が織られた曼荼羅を、高名な日本画家の入江雅巳さんが15年の歳月をかけて復元されたものだそうです。
原本の曼荼羅は4メートル四方、1200年も前のものなので痛みがひどく、絵がわからないほど黒ずんでいるとか。非公開、門外不出の秘宝で、国宝となっているそうです。

さていよいよ、その曼荼羅のご説明ですが
いちばん下の部分には9コマに別れて「九品往生」の絵。これは、生前の行いによって「上品上生(じょうぼんじょうしょう)」から「下品下生(げぼんげしょう)」まで9つのレベルに分かれ、それにより死後のお迎えのされかたが異なることを表現しています。「上品上生」では仏様総出で死後のお迎えに出ているのに、「下品下生」ではひとりもお迎えがなく『自分で勝手にいらっしゃい』といったふう。(笑。お坊様がこういうふうに説明されてたんですよー)
両端にはやはりコマに別れて、インドでのお釈迦様の説法の様子が描かれています。これは、肉親の裏切りにあったりしてつらい思いをしていたイダイケ(?)王女が、お釈迦様の説法によって心が救われた、というお話だそうです。具体的に現世での問題が解決したとか、救われて幸せになったとか、ということではなく「魂が救われた」ということが肝要なようです。
そして、中央に阿弥陀如来様、両脇に観音菩薩様と勢至菩薩様。その下に広がる極楽の金色の池には蓮の花。それぞれの蓮の花には、亡くなって極楽浄土に入れていただこうとする人たちの絵。「上品上生」の人は美しい姿をして開いた蓮の上に乗っており、すぐに極楽に入れるのですが、「下品下生」の人は、蕾のような蓮の花に中に赤ちゃんの姿で入っていて、はじめからやりなおして魂を浄化してからでないと極楽に入れない。浄化するには480億年かかる!そうです。それからそれを迎える歌舞音曲を奏でる人々。阿弥陀様の背後には宮殿が描かれています。全体的にとてもおめでたい絵なのだそうです。

これは、中将姫が夕日の空を見た時に、空に浮かんだ極楽浄土の様子を、多くの人たちに伝えてすくわれてほしいという一念で、つくりあげた曼荼羅なのだそうです。

説明の最後に、独特の節回しのついた「當麻曼陀羅絵解き」を披露してくださいました。
ほんとうに独特で、説明はとてもシンプル、心に残る絵解きでした。
昔は、いまと違って文字を読めるひとが少なかったでしょうから、そういう人たちにも理解できて、なおかつ魂が救われるような説明のしかたを、苦心して考えたのでしょう。「絵解き」もそのひとつだったのではないかと思われます。
絵を見せながら、歌うようにお話してくれれば、とてもわかりやすいし記憶に残りやすいですものね。


件の「蓮絲…」との関連性はこの曼荼羅にのみあったようで、継子いじめのエピソードは後世になって付け加えられたものですし、姉弟の恋愛というのもこのたび付け加えられたもののようでした。
そういう艱難辛苦を超えて魂の浄化ができた中将姫の話をさらに印象深くするために、必要だったのかもしれませんね。
じっさい、中将姫伝説は中世以降「継子いじめの話」として広がっていったそうです。
今日のお坊様のお話はとてもわかりやすくて、その骨子となる曼荼羅の話を聞くことができてとっても勉強になり、十三仏の意味などもあらためて知ったこともありましたし、貴重な体験でした。
このような機会をいただけたことに感謝。ありがとうございました。

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