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2007/05/30

「薮原検校」

京都のことを書こうと思ってたけど、今日はこれを観たので先にこっちを(笑)。

有名な悪党の話だし、出演者みぃんな濃いし(特に男性)、チラシの写真すごい恐いし(笑)、おどろおどろしていて、覚悟して観なきゃと思ってたのですが、予想に反し明るい説経節みたいな感じで普通に観れました(私は)。
なぜ明るいかというと音楽がね。昭和フォークみたいなロックみたいな感じで、演奏もギターで。
それから語りもね、講談みたいな説経節みたいなリズムを持っているんですけど、湿度が低いんですよ。

そもそも人間が持っている「悪」というもの…生きるための執着みたいなもの、あらゆる物欲とか性欲だとか、蔑みとか妬みとか差別とか、およそ理性とは正反対の方向にあるものーでもきっと持っているであろうもの、を描いているので、内容はどろどろして重いし表現もかなりきわどいのですが、演劇的にかなりスカッと処理されていて、私は、観たあとに澱のようなものがたまりませんでした。
(普通こういうの観ると 、どよーんとたまっちゃうんですよ、深い黒い澱のようなものが)
これはね、なんとなく蜷川さんと井上さんのすごいとこなんじゃないかと思いましたね。
こういう「悪」(というべきかはわからないけど)の部分て、日常的に、いつもあるわけじゃないですか。表面明るくてキレイでクリーンでも、必ずある。
そのことを、見るんだよ、っていわれてるみたいでしたね。
澱がたまらないからって、ぬるいわけじゃないんです。

杉の市はあんなに悪くて非道で処刑されてしまうけど、自分のために相手が傷付いても殺されても、そして処刑されても、間違っても「自分が悪かった」と悔い改めたりなんぞしないんだろうなぁ。その根底には、蔑まれていること、その中で生きていく執着、人間としての本能、いろいろなものがある。
処刑されたとき「ええーっ」って思った。ああいうひとは、ずーっと、生きて生き延びていく感じがしたから。
それをまた喜んで、酒の肴にでもしかねない民衆の、「悪」もたしかにそこにはある。
ずっとずっと、終わらない連鎖なのだと思いましたね。

古田さんの存在感が素晴らしく、悪くて非道いんだけど人間くさい。生血を感じる、っていいますか。
田中裕子さん、久しぶりで見たんですけど、この方やっぱり上手いなぁ。そして色っぽいんですよ、嫌みなく。すてきでした。
それからずっと舞台に乗りっぱなしで、語っていた壌さん、出過ぎず、でもその存在感はばっちり心に残り、センターでの芝居といい具合に絡み合ってとても印象に残りました。この方のこの語りかたあってこそ、この芝居の雰囲気が保たれたといっても過言ではないと思います。このお芝居のMVPは彼に差し上げたいくらい!
段田さん、六平さんも良かったですねぇ。ほんと、濃い俳優陣でとっくり観せていただきました。
明日がもう千穐楽なのですが、流麗な台詞がたくさんあって、それをもういちど聞きたいと思いましたね。

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