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2007/06/01

三響會@南座

若冲に逢ったその夜に、三響会へ。逢いたいひとがたくさんいて忙しいやら嬉しいやら。
三響会は初の南座、関西進出だそうです。
ちなみに私も初南座でした。o(^-^)o
会場に入るとあちらこちらに舞妓さんや芸妓さんがいて、さすが京都やわぁー♪という雰囲気、加えて周りの方たちは出演者ゆかりの方が多いようで、目も耳も肥えたお客さんたちという風情。私の隣に座った方も、上品で風格のある着物姿の紳士で、新参者の私はなんとなく緊張。でもそんなこと、幕が開いたら忘れてしまいましたけどね。

まずは「道成寺組曲」、三兄弟と笛方は一噌幸弘さんによる上演です。
ちょっと緊張ぎみの空気の中(私だけ緊張しているのではなかった模様)広忠さんの大鼓がさらに緊張感を高めるかのように響き、つづいて切り裂くような笛の音から乱拍子へ。
いつもは踊りの伴奏として耳に入る響きは、このように情熱的に、緊張感に溢れて劇場空間を揺るがす「音」であったのか。打楽器というものの神懸かり的な空気の振動というのは想像を超えてすごい威力を持っているようです。(一噌さんの笛だって、旋律を奏でる楽器というよりは打楽器的な印象です)
「道成寺組曲」という曲の流れを感じ取れて、しかもこれが滅多に見られない三兄弟の競演によるものですからね、貴重な経験でした。

「八島」、萬斎さんの謡に広忠さんの大鼓のみと、いたってシンプル。でもおふたりの振動波は舞台全体を十二分に埋め尽くすものでした。
広忠さんがまた、めいっぱい命がけなお顔でした。萬斎さん、艶のあるお声ですなあ本当に。

つづいて舞踊「喜撰」
藤間勘十郎さんと片岡孝太郎さんによる素踊りでした。これはちょっと、いつもと全く趣がちがって興味深いことですよ。私は素踊りって、ほとんど見たことがありませんでしたから。
勘十郎さん、さすがに踊りがうまいです。踊りのことよくわからないんですが、満足できたり伝わってきたりするものがあるということは、わかるのです。
そして孝太郎さん、素踊りですからもちろん、男物の着物ですしなにも化粧はしてないのですが、女性にしか見えませんでした。なよやかな手つき肩の線。
おふたりともとっても素敵でしたぁー。

能と長唄による「船弁慶」
もーう、不思議な、かつ贅沢な空間でした。三味線と唄にあわせておシテが舞っているー。
シテは片山清司さん、アイを萬斎さんだったのですが、片山さんの安定感存在感ったらこの上ありませんでした。私は花道近くの席だったのですが、その近くで何度もバンバンと跳び、回転する。決めた時の塵ひとつ動かないかんじ、動くときのするすると、上半身は全く動かない運び。
いやいやすごい、そして囃子方のほうも三兄弟揃い踏み、ほんとにこんなこと、三響会でしか見られないよ、っていう贅沢さでした。

そしてさらにまた、三響会でしか見られない、能と歌舞伎による「石橋」。これは以前の三響会で二度演じられているのですよね。でも私は今回が初見でした。
お能方のシテ(獅子)は観世喜正さん、歌舞伎方の獅子は片岡愛之助さん。
お能の囃子・地謡と歌舞伎の三味線・唄が交互に入り乱れて、双方の獅子が舞うのですー!すごいエキサイティング。動きが全然違うの。足の運び、姿勢の取り方、舞台空間の使い方。すべてが、違うんですけど、双方和合してひとつの舞台をつくりあげている。すごいよー。
歌舞伎の獅子は、ご存じのとおり派手なんですが、お能の獅子は静と動のとりあいがすごくて、競演だとかどちらがいいかとか、そんなレベルのことをいっている場合ではない、格調の高いものでした。

こんなに素晴らしい、そして面白い試みが見れのはやはり三響会だけ。三兄弟がお能と歌舞伎両方に関わっていてくれて良かった、三兄弟がいてくださって良かった、と心から思います。
件の紳士は、途中「さすが○○さんや」などとひとりごちながら舞台を見ておられましたが、終演後「いやあとっても良かったですなぁいい舞台でした」と話しかけてくださってびっくり!私も興奮さめやらず「ほんとに!東京から来たかいがありました!」などと調子にのりあちらも「また三響会をみましょう」とたいへん心地よくご挨拶をしたりして、思わぬことに嬉しい気持ちになりました。
見ず知らずの方ともこうして話が弾んでしまう、とっても素敵な三響会、来年も南座での公演が決っているそうです。
秋には東京でもあるようなのですが、早くも食指が動いている私。若冲に続き、京都まで来て本当に良かった、と大満足なのでした。

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コメント

>kirigirisuさん、うふふ、一噌さんにだいぶやられていますねー(^^)!空気を切り開くような笛の音ですよね。
お能のお囃子は、ほんとうに、空間を揺るがすようなエネルギーがあって、「ぶっ飛びそう」というの、よくわかります。ものすごいハイレベルな「振動波」って感じですよね。私も、お能のお囃子にハマりつつあります(笑)。

こちらからも失礼します。(^^)

>神懸かり的な空気の振動
囃子方の発する気なんでしょうかしらね。前に能楽堂の正面に座っていたときに、一斉に掛けられた鼓の方の掛け声に後ろにぶっ飛びそうな感じがしたことがあります。この間世田谷PTのポストトークで、広忠さんがお能のお囃子って「play the music」とは違うというようなことをおっしゃっていました。

最近、幸弘さんの笛にもかなりそそられます。(^^) たしかに、お能の笛って打楽器的な感じがしますよね。

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