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2007/06/02

福田平八郎展

今夜は月が耿耿と照り映えておりました。
昨日が満月だったのですね。
遡って、京都のおめあてその3、福田平八郎展@京都近代美術館 のことを。

Rimg0016この展覧会も京都のあとは名古屋でしかやらないので、ぜひ行ってみたかったのです。
福田平八郎は(いわずと知れた)日本画家ですが、古風なようで斬新な構図、着眼点の面白さで有名な方です。
会場の京都国立近代美術館は、とてもモダンな建物。
ロビーは光に溢れていて、窓や天窓から射し込む光が、オブジェのように真っ白い壁や床に影をおとし、それだけでもアートでした。
広い階段を上っていくと、会場です。
…福田平八郎の世界でした。

福田平八郎の絵は、とても写実的。と同時にグラフィックデザインのような構図の処理をされています。
その絵のなかにある動物も植物も、あたたかい鼓動が感じられるのに、モダンな空間に置いてもぴったりすると思う。
それから、あまりに当たり前すぎて見逃してしまうようなシーンを切り取って、絵にしているのです。
雨が降り出して黒い瓦の上に雨の粒が黒々としたあとをどんどんふやしていく様子。
廚(くりや)にいるなんでもないものたち。蜜柑とか茄子とか蛤とか。
土のなかからむりむりっと頭を出したばかりのたけのこ。
肌には風を感じないのに凪いでいる水面。
そういうひとつひとつに、愛情を注いで絵にしていく。
そこには、子供のような純真な驚きとか、四六時中絵のことばかり考えている絵描きの心とか、つきつめて研ぎすまされた感性だとか、いろんなものが内包されているように感じます。

有名な「漣」とか「竹」とか「鸚鵡」とか「鮎」とか…は評判のとおり素晴らしかった。
でも、私がすごく気にいってしまったのは「日の出」という作品でした。
海からいまにも太陽がのぼろうとして、朝日のオレンジ色が夜の紫と混じりあってくる頃の空と海を描いているのですが、
海の中にオレンジの太陽がいるんです。
空にはまだ太陽はいないから、当然その姿は見えてないはずですが、あぁもう海の、あのへんに太陽はいるのかなぁという思いが、そう描かせたのかなと思って、思わず微笑んでしまいました。
会場をぐるぐると回って、何度も見てしまいました。

福田平八郎の作品は、見ていて微笑んでしまう。
なんだか、微笑みながらずぅっと、会場にいました。(^-^)
うーん、これまた京都まで来て良かった。ありがとう、ありがとう。

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