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2007/08/28

八月納涼歌舞伎・二部

完売で諦めていた二部、めでたく戻りが出たので前楽に行ってきました。

「ゆうれい貸家」
これって、ゆうれいが出る家を借りちゃったひとの話かと思っていたら、ゆうれい斡旋業をしちゃうお話だったのね。
長屋のひとたちや、ゆうれいの福助さん・ぐうたら亭主の三津五郎さんのやりとりが落語っぽくて、これ誰か高座でもやってくれないかなぁなどと思いながら楽しんで観劇。
福助さんも三津五郎さんもうまいひとなので、ちょっとした間の取り方とかテンポよいかけあいの妙が面白い。なにより福助さん、やっぱりこういう、ちょっと癖のあるお役のほうが断然いい。
貸し出されていたゆうれいの又蔵(勘三郎さん)が、短いシーンながらも弥六(三津五郎さん)が我に還るような大事な台詞を、笑わせながらも心に残る風体で言ってたちどころに去る。さすが。
浮気者のお千代の七之助さん、普段の堅さを払拭してなかなかがんばっていたし(でもやはり少々堅めは否めない)、爺婆のゆうれいの権一さん玉之助さん、もーほんとにおじいちゃんおばあちゃんだった…。
笑わせようとしすぎ(?)で力が入り過ぎに見えるところも多々あったけれど、一貫して夏芝居らしく、肩こらず気軽に笑える人情もので、楽しく拝見いたしました(^^)

「舌切雀」
いろいろ風評は聞いていたけれど、やはりずいぶんごちゃごちゃとした印象。
登場人物の数も含め、もっとすっきりさせたら、昔話の持つ残忍性とか皮肉っぽいところとか、楽しさ美しさの中の恐ろしいまでのリアリティみたいなのが、もっと浮き上がってきたのではないかと、ちょっと惜しい気持ち。
二重三重の役割を持ち、ストーリーを転換させる要といえる「小人」の存在意義が、いまひとつわかりにくいのも、このごちゃごちゃ加減のためと思われます。

そもそも私は学生の頃から、渡辺えり子さんのお芝居のファンで、いろいろな作品を観てきました。
とっても才能溢れる方だと思いますし、裏を見ても見てもまだまだその裏が現れるというような複雑な構成はえり子さんの作品の特徴であるとも思いますが、この作品においてはいまひとつ未消化な印象をぬぐえませんでした。
役者さんたちの動きや踊りを見ても、(最初の頃よりはすいぶんこなれてきたという評判ですが)少々不馴れな雰囲気を感じましたし、同時に「こういう初の試みをすることは、役者さんたちにとって嬉しい楽しいことなのだろう」と感じられるような空気感もあったりで、この演目の、これからを(見れるのであれば)「もっと見てみたい」と思わずにいられませんでした。

けれども、幕が開いたとき、あまりにも華やかな舞台装置や舞台構成に、思わず「ワァーッ」と心が浮き立ちましたし、その華やかさの中に夢と毒を感じさせるバランス感覚はさすがと思いましたし、こういう試みを、若さ溢れる八月の納涼で見られることは、今後の歌舞伎の行く末を思うととても意義のあることのように感じました。

この二部は、発売とほぼ同時に完売してしまい、八月の予定がたたなかった私は(戻りもなかなか出ないし)半ばあきらめていました。
でも、「完売」と聞くとなおさら見たくなるのは人情というもの(笑)。
今週は、なんとか行けそうだったので、ちょこちょこWebをチェックしていたら、3階の戻りが!
なんとラッキィ!とばかりに即ゲット。
見ることができてほんとうに良かったです。
「舌切雀」にもいろいろともの申しましたが、新作は、この先どのように育っていくか(あるいはずっと再演されない可能性もあるし)という楽しみもあるので、初演を見れたことはとても嬉しく思っています。
役者さんでは、勘三郎さんが大活躍でしたが、とりわけ勘太郎さんの進境著しく、九月の錦秋公演がますます楽しみになってまいりました。

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コメント

>kirigirisuさん、お互いに3部とも見れてよかったですね!
2部だけそんな人気だったのは不思議ですよね。他の部に比べて何か突出していたわけではないし、渡辺えり子さん人気というのもそこまでなのかしら??
ちなみに私は、新鮮さでは1部、まとまりでは3部(笑)でした。

mamiさん、こんにちは。

2部もご覧になることができて良かったですね。(^^)v わたしも昨日滑り込みで1部に行ってきましたので、なんとか全部見ることが出来ました。納涼はチケットが取りにくいことは取りにくいのですが、それにしても発売当初から2部だけ完売っていうのはなんだったんでしょうね(^^?

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