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2007/10/11

成川美術館

先日休みをとって行った場所に「成川美術館」があります。
ここは日本画を相当数収蔵している美術館で、その中からテーマを絞って、年に数回展示替えをしているというとてつもない収蔵数を誇っています。
ギャラリーホールからはお天気がいいと、湖ごしに富士山も見えるので、ロケーションも抜群のすばらしい美術館です。

ちょうど14年ほど前に、ここに日本画を習っているグループの方達と一緒に来たことがあります。
躑躅の咲くよい時期で、食事をとった山のホテルは躑躅の庭を見にきた人たちでごったがえしており、成川美術館もとても混んでいました。
当時、吉田善彦さんの展示会をしていました。
とてもやさしい画風で、とくにクレマティスの紫は印象的でした。
みんなで、わきわきと拝見したのをよく覚えています。

ここには、母も一緒に来るはずでした。
でも、直前に体調をくずして来れなくなり、私は寂しいながらもひとりで参加していました。(とはいっても、いつも一緒の日本画のお仲間、楽しい小旅行だったんですけどね)
母の状態はたいしたことないと思っていたから、「もーぅ、せっかくなのに一緒に行けなかったー!」と私はいかにも娘っぽいわがままを発揮し、母は私の話すみんなの様子や写真を見て嬉しそうに「いいなあ、行きたかったわぁー」とこれまた少女っぽいわがままを言ってましたっけ。
病状は思ったより深刻で、母はそのまま次の年に亡くなりました。

母の十三回忌も終え、おおそうだ、あのときに行けなかった成川美術館に、一緒に行きましょうかと思い立った次第で。
あのときはなんだ行けないのか、とばかり思っていて、では気持ちだけでもご一緒に、なんて思えるほど私も大人でなかったのですよね。そんな大事だとも思ってなかったし。
今回、あいにく吉田善彦さんの絵は今回は展示されてなかったけど、それに秋だから躑躅はもちろん咲いてないし(あ、でもぽつりぽつりと間違って?咲いている子がいくつか、いました(^^)
でも、なんとなく思いを残してたことが「完了」したような。

成川美術館では上村松皇・上村淳之展をやっていてなかなか良かったし、万華鏡がいくつもあって実際にのぞいて動かすことができたので楽しめたし、湖をのぞむカフェでお茶も飲みました。
なにより今の私に嬉しかったのは、高津紘一さんという方の能面が展示されていたこと。
若女、小面、増女、般若、十六(平敦盛の面)など数点展示されておりまじかに見ることができたので、角度によってこんなに表情が変わるんだとか、面の穴(目の穴とか鼻の穴とか)がすごいちっちゃくてどこから舞台を見るんだろうー?とか、子細に観察してまいりました(笑)。

この時期、ひとも少なくて、ゆったりとずいぶん長い時間、そこにいたような気がします。
ふんわりとした、とらえどころのない、ゆるやかな時間でした。

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