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2007/10/28

一日まるっと、三響会♪

今日は(って、10月27日であります)…昼の部に行って、夜の部にも行って、でもって三響会倶楽部主催の十周年記念パーティにまでフル参加。
いやーやっぱり三響会は面白い!
昼の部は三階で、夜の部は1階で観ました(三つの演目中二つは昼夜同じものだったので、位置を変えて観てみたかった)が、昼の部だけの演目だった「獅子」も、やっぱり一階で観れば良かったと、ちょっと後悔。
ま、いっか。それぞれに良かったので。
最後のパーティまで含めて、楽しくて大充実!
以下、感想なんですが、無駄に長いので、たたみます。。

「能楽五変化 〜神・男・女・狂・鬼〜」
 神 神舞    高砂:竹田 文志
 男 黄渉早舞  松虫:坂  真太郎
 女 神楽    巻絹:古川 充
 狂 楽     梅枝:武田 友志
 鬼 祈り   道成寺:梅若 普矢(昼の部)
            観世 喜正(夜の部)
          笛:杉  信太郎
         小鼓:林  光寿
         大鼓:亀井 広忠
         太鼓:大川 典良

能囃子の五番立を、わずか30分という短時間(でも囃子方にすれば、これだけの時間演奏しっぱなしというのはほとんど格闘技だと思う)で組み立て、能囃子の音の違いを5人のシテによる舞と合わせてみせてくれるという、この上ないエンタテイメント。
暗闇を笛の音が切り裂き、太鼓、鼓の音がこれに続く。
薄暗く照明がつくと、浮かび上がる5人のおシテの姿。その奥に一列に並んだ囃子方。
最初5人で舞い、その後順番に一人づつ舞う。
「神」は空間を切り開くような鋭さ、「男」は懐古的な感じ、「女」は典雅流麗、「狂」は激しく、「鬼」は空間をつきぬけるようなクリアーさ。
こんなひとことでは語れない「音の違い」がそこにはあり、続けて演奏されることでより際立つ。
能囃子を楽しむにしても、5人のシテの入れ替わり立ち代わりの舞を楽しむにしても、(きっと海外の初見の方をお連れしても)飽きさせない興味深い演目だった。
ちなみに、3階席から観たところでは、最初の、舞台にぼうっと照明がついたときに、5人のシテの影が長くのびていたのが美しく、これから始まる空間への期待を盛り上げた。
1階席のときは、囃子方もおシテも、もちろんたいへん見やすくて、細かい所作や表情も受け取れた。
5人のシテが並んでいた、あの美しい光景が、忘れられず。


「月見座頭」
 座頭:藤間 勘十郎
 男 :茂山 逸平
 男 :中村 勘太郎

 語り:片岡 愛之助(昼の部)
    野村 萬斎(夜の部)

 笛 :福原 寛
 小鼓:田中 傅九郎
 小鼓:田中 傅左衛門
 大鼓:田中 傅八郎
 太鼓:田中 傅次郎

 蔭囃子 田中 佐英・田中 源太郎・田中 佐吉郎
 三味線 今藤 政十郎・杵屋 勝正雄・今藤 長龍郎・松永 忠一郎
 唄   味見 純・松永 忠次郎・杵屋 利光(立)・杵屋 巳津也
 箏曲  小林 露秋・大坪 正秋

もとは狂言の「月見座頭」を三響会風にアレンジしたもの。
本来「男」は一人だけなのだが、ここはあえて狂言方、歌舞伎方からひとりづつ、二人の男を登場させて変化と面白みをつけていた。
まず、直前に発表されたゲストの愛之助さんと萬斎さんは「語り」という役柄でご出演。
最初にすっぽんから登場し、導入部を語って退場、最後にまた締めで出てくるのだが、
愛之助さんはいたってまじめに、(たぶん台本通りに)語られていた。
ところが、萬斎さんのほうは、のっけから「ヴー」と唸りながら登場して笑いを誘い「語りならぬ、野村萬斎でございます」「この出演を聞いたのはほとんど3〜4日ほど前、そしたらパンフレットには自分の名前が印刷されてるじゃーありませんか!」と大暴露(笑)、おまけに舞台中央に移動してからは、主催の傅次郎さん傅左衛門さんに絡んでアドリブ連発(さすがにお二人とも笑っちゃってました)、ご自分で「語りではなくて落語の枕みたいになりました」とおっしゃっていたが、日頃から三兄弟とは親しいおつきあい、しかも大先輩ということもあって、やりたい放題(^o^;。観客の私たちは楽しませていただいた。

さて本筋の「月見座頭」だが、座頭が月見に(じっさいは目が見えないから、虫の声を聞きに)やってきたのを、二人の男がともに酒を飲みながらからかい、最後は座頭にしてやられる、というもの。
狂言が下敷きとはいえ、かなりアレンジされている。
軽妙な楽しい一曲で、勘太郎さんは歌舞伎色を逸平さんは狂言色を、互いに少しうすめた味わい、コミカルな動きが楽しめた。
勘十郎さんは、終始目を閉じてらして、勾配のきつい舞台装置を行ったりきたりするのは、さぞかし大変なことだろう。
話がそれるけど、今回の舞台装置は固定舞台で、どの演目でも変わらず。中央奥に、身長より高い橋のセットがあり、その両側からなだらかに弧を描いたスロープが伸びている。(なぜこんなに高さがあるセットなのかは、「獅子」を観てわかる)だからかなり急勾配だったそうで、勘十郎さんに限らず、このスロープはみなさんこわかったみたい(とは、後のパーティで打ち明けられた話)
さてからかわれた座頭は、踵をかえし、ふたりの男に挑むのだが、この動きがとても良く、ふたりの男は「ほんとは見えてるんじゃないの〜?」といって逃げていく。
勘十郎さんいわく「そりゃちょっとは薄目あけてますよ」とはパーティでの弁(笑)
三人の踊りやお芝居がとても楽しく、笑いに包まれた演目だった。


「獅子」(昼の部)
 獅子:梅若 普矢
 獅子:観世 喜正
 獅子:市川 亀治郎
 獅子:中村 七之助

 笛 :福原 寛
 小鼓:田中 傅左衛門
 大鼓:亀井 広忠
 太鼓:田中 傅次郎

 三味線:今藤 長龍郎・杵屋 勝正雄・松永 忠一郎(立)
     今藤 政十郎・今藤 龍市郎
 地謡:武田 文志・谷本 健吾・武田 友志・坂 真太郎
    清水 寛二・古川 充

三響会の出世作「石橋」ものを新たにアレンジして、4人の獅子で舞われるエンタテイメント。
お能方シテおふたりが親獅子、歌舞伎方のおふたりが子獅子。
幕が開くと舞台中央に緑の岩屋がふたつ。お囃子がすすむと、これがぱっくりとふたつに割れ、お能方のシテ、獅子・梅若普矢さん、観世喜正さんが登場!
きゃーと思っていると今度はすっぽんから歌舞伎方、七之助さん。するすると舞いながら橋にのぼっていくと、橋の中央からポップアップで亀治郎さん登場!(そう、この仕掛けを仕込むために橋の高さが必要だったのだ)
登場のしかただけで観客大興奮。
歌舞伎方のふたりはもちろん毛振りも披露したが、これが花道からスタート、移動しながら振りながら舞台中央に移動し、見事にシンクロさせて振ったあと、亀治郎さんが振り方を逆回転に!
左右対称形でのスピード感溢れる毛振りに場内大喝采。ひえー!!スゴイ。
その後お能方おシテ二人による舞が、歌舞伎のような派手な動きはないがこれまた迫真の舞で、ものすごい迫力。
お能の動きはほんとうに、はりつめていて迫力があって美しい!
しかもあの面をつけてあれほど激しく動くとは。
お囃子部隊も、いつもに増してかけ声も力強く、テンポも早く。
春の京都での三響会は、お能方歌舞伎方それぞれひとりづつだったのが、今回4人と聞いてどうなることかと思ったが、実に実に素晴らしかった!ブラボー。


「一角仙人」(夜の部)
 一角仙人:市川 染五郎
 旋陀夫人:市川 亀治郎
 臣下  :中村 七之助

 龍神  :梅若 普矢
 龍神  :梅若 慎太朗

 笛   :福原 寛
 小鼓  :田中 傅左衛門
 大鼓  :亀井 広忠
 太鼓  :田中 傅次郎

 三味線:今藤 政十郎・杵屋 勝正雄・今藤 長龍郎(立)・松永 忠一郎
 唄:味見 純・松永 忠次郎・杵屋 利光(立)・杵屋 巳津也
 地謡:谷本 健吾・武田 文志・坂 真太郎・武田 友志
    観世 喜正・古川 充

橋の上に岩屋がセットされている。
前半部分は、歌舞伎にもある「鳴神」のくだり。
龍王を閉じ込めて雨を降らせなくしてしまった一角仙人が、旋陀夫人の色香に惑わされ、酔いつぶれてしまう。
亀ちゃんの雲絶間姫は以前観ているが、こちらはその時とは全く異なる衣装いでたち、これを見るとお能は中世に、歌舞伎は江戸時代に発展したものなのだとあらためて感じられる。
この構成は、前半がほぼ歌舞伎、後半の龍神が登場してからはお能が主体となるもので、囃子・謡の部隊もキレイに別れていた。(前半はお三味線に唄、後半は地謡)
個人的な感想だが、前半部分は少々冗長で、華やかで面白さはあるがなにかが欠けていた。一転、後半は一気に舞台がひきしまり、緊張感が増した。
前半には贔屓の亀ちゃんが出てたのにーと思うのだが、実際岩屋を破ってふたりの龍神が登場してから舞台の空気が一変したのは事実である。何故か。
たぶん、それぞれのお囃子や舞の持っている空気感というものが異なっていて、どちらがいいとか悪いとかではなく、後半の緊張感が前半を凌駕してしまったものと思われる。
個人的に感じるのは、三味線の存在が大きいと思う。旋律があるなしでは、本質が全く異なってしまうように感じたのだ。
もともとお能と歌舞伎の融合というのはとても興味深い、面白い試みであるし、これができるのは三響会しかないのだから、このあたりのバランスをもっと的確に表現していけば、それぞれの「いいとこどり」みたいな、すごく楽しめるものになると思う。
じっさい「一角仙人」の前半部分は、歌舞伎調だと芸風も内容に合っていて面白いと思うし。
今回「一角仙人」は初めての上演で、これも試行錯誤を重ねていずれは「獅子」のような高度なものになったらいいなと感じた次第。


‥たくさん書きましたが、まだまだ初心者の私の戯れ言と思ってくださいませ。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
パーティの話はまたあらためて。
     

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コメント

>kirigirisuさん、やっぱりkirigirisuさんも昼夜通しだったんですね!実はきっといらしたんだろうと思って、kirigirisuさんの感想を読みたくて、たびたびお邪魔してましたー(^-^)
ご無理なさらなくていいんですが、kirigirisuさんの感想も読みたいです(あ。プレッシャー?そんなふうに思わないでくださいね)

お席、ちょうど逆だたんですね。
どちらも一階で観たかったですけど、今回私は懐具合とも相談して…(^-^;でも「獅子」はやっぱり一階で見たら迫力が違ってたかもしれません。昼に一階席、正解だったと思いますよ!

kirigirisuさんにも、そのうち会場でお会いできるといいなあと思います。

わたしも昨日雨の中演舞場へ参りました。お寝坊して遅刻しそうになって、滑り込みセェ~~フ(^^; mamiさんと丁度逆で、昼が1階席、夜が3階席で拝見しました。同じくやはり両方1階で見れば良かったかなとちょっと後悔(^^)。

パーティは散々迷ったのですが、今月と来月は家の用事と仕事が色々と重なっているために時間的にムリそうなのであきらめました。パーティのレポ楽しみにしております。

わたしも公演のレポを書こうとは思っているのですが、ここ一週間ほどあまり時間が取れそうもないので、mamiさんの公演レポを拝見して、自分でも書いたつもりになりそうな予感(笑)

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