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2007/12/13

ぴかぴか

移動中に乗ったバス代を払おうとしてお財布から出した100円玉がたまたま新しいぴかぴかのものでした。
ぴかぴかしてるなあと思ってそれを見つめていたら、そこにYさんの顔が浮かびました。

Yさんは、私がずいぶん若い頃に勤めていた会社に出入りしていた、物流会社の配達スタッフで、母親よりは少し若い年代のひとで、すごく可愛がってもらってました。
女性なんだけど見た目が男みたいで(実際、女子トイレに入っていたら、キャーといわれたとかいないとか)、すんごい江戸っ子で江戸弁で、気っ風がよくって義理人情に堅くて、ひと昔前のホームドラマに出したら、こんな面白いキャラいないよ!ってくらいな個性のひとでした。

皆で一緒に遊びに行ったとき、日頃車で動くので、電車の切符を買うのに慣れてなくてあたふたしてるので「大丈夫?」と声をかけたら目的地が見つからないと言うのです。
すぐに見つけて「ここですよ、○○円」と教えたら、茫然としている。なんでかっていったら、「東十条」を「しがしじゅうじょう」で探してたって。(路線図を見慣れてないから五十音リストで探してたんですね)
そりゃ一生見つけられないよ〜と皆で大笑い。
なんてったって、生粋の江戸っ子ですからねぇ。
その間にも本人は「しじゃなくてひなんだ…」とずっとつぶやいてましたけどね(笑)

男前なわりに繊細で、食物の好き嫌いが激しくて、みんなで居酒屋さんに行ったりすると、きんぴらごぼうくらいしか食べられるものがない。お酒も飲めないし、Yさん楽しくないんじゃないかと気にすると「皆が楽しそうにしてるのを見るのがいいんだよ」といって、いつも必ず最後までいる人でした。 筋がとおってないことは大嫌い。私たちもよく叱られました。同じことを親に言われてたら聞いてなかったかもしれないことも、Yさんに言われるとなんだか神妙に聞いちゃったり。

その、肝っ玉母さんみたいなYさんが、あるときお財布から小銭を出して「あ。」といってひっこめた。
どうしたのと聞くと、ものっすごく照れて、怒ったみたいな顔して、
「(自分は)コドモだから、キレイな百円玉をとっておこうと思ったんだよ!」
そのときのYさんの顔が、もう可笑しくて可愛くて。

なんてことない話ですけど、そのぴかぴかの百円玉を眺めて、クスリと笑いがこぼれ、思わずほかの、ツヤのなくなった百円玉に取り替えたのでした。

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