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2007/12/09

寡黙の人

仕事柄、さまざまなひとと話をする。
デザイナー、建築家、施工業者、職人さん、メーカーさん、バイヤー、プロデューサー、などなど。。。
もっとも様々なバリエーションなのは、もちろんお施主さんだ。

打ち合わせをするときは、みなさんたくさんの夢を持って、家をつくろうとしているので、たいてい雄弁だ。
こうしたい、ああしたい、自分はこういう人間である、こういう暮らしをしている…など、留まるところがない。
なのに!この仕事をし始めて以来初の、しゃべらないお施主さんと、ただいま対面している。

なにしろ、最初にお会いしたときは、午前中の3時間ほど、一回も声を聞かなかった。
ほかのご家族がいらっしゃるので打ち合わせは進むのだが、意見を聞かれてもだまってうなずくだけなのだ。
かといって、機嫌が悪いわけでもないし、打ち合わせに参加する気がないというわけでもない。
ひとの話はきちんと聞いているし、前向きに打ち合わせに参加している「気持ち」が伝わってくる。
最初は面食らって、こちらだけが一方的に話していいものか、決定を促すときにこちらが押すべきなのか、それとも返事があるまでじっと待っていたほうが良いのか、わからなかった。
でも、そのうちに、意見を聞き出してこちらが決めてあげたほうが良さそうだ、ということがわかってきた。
もしOKならなにも言わないし、気持ちに違えば「それは…」とちいさく言ってくださる。

そんな調子だったので、先回の打ち合わせのときに、センテンスでしゃべられたときはびっくりした!
同時に、ここぞというときは、ちゃんと意志を見せてくれるのだと、ちょっと安心した。
(その方の、大切な趣味のスペースの話だったので。そして、その方も少し私たちに慣れてきたのかもしれなかった)
そうやって接していくと、もしかしたら、その方にとって(いくらしゃべらないからといって)「こうですか?」「これでいいですか?」などと、畳み掛けられるのはいやなんじゃないかとか、
あるいは自分がなにか答えるまでじっと待たれたりしたらそれもプレッシャーなんじゃないかとか、
自分がしゃべらなくても家族が楽しそうにしゃべっているのを見るのが好きなのかもとか、
いろんなことが頭をよぎった。
その方から感じ取れるものは、「大人しい」こととは裏腹に、エネルギーが弱い感じはまったくしなかったし、周りの空気に馴染む「いい感じ」だったからだ。

ひととのコミュニケーションの取り方はいろいろあるし、家をつくるという仕事においては施主の話を聞くのは非常に大切だけど、「話」にばかり頼っていると、肝心なそのひとの持つ「空気感」というものを見逃しちゃうかもしれないな、と
その方と接して、感じたのでした。

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コメント

>二郎さん、お忙しいのに書き込みありがとうございます!(^-^)
私もここのところなかなかコメント書き込みできないんですが、二郎さんのところには毎日のように伺わせていただいて、光と影を満喫しています♪
二郎さんも寡黙なんですか?でも、作品はすごく語ってますよね(^-^)
話すことだったり、作品だったり、表情だったり、その方によって自分を語るツールって、違うんですよねきっと。

打ち合わせのとき、本題よりも、ちょっとしたことから重要なことが得られる…まさにそのとおりです。意外と雑談が大事だったりしますよね。でもおっしゃるとおり、そうすると時間がかかります…。
私も大事なとこを聞き落としているかも…コミュニケーションは難しいです。。。

今晩は。ご無沙汰しておりますm(_ _)m
相手をみて臨機応変に対応されているのがさすがmamiさんという感じです。
私も同様に寡黙なのですが、話を聞き落としているかもしれません(汗)。

職業柄打ち合わせが欠かせないのですが、最近はなるべく話を聞く姿勢で臨んでいます。ちょっとした事から重要な事実が出てくることがあるからですが、そうすると時間をオーバーしがちなのが辛いところです。私にとって永遠の課題かもしれません。

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