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2008/02/21

博多座感激記(^-^)

「蜘蛛絲梓弦」 2月19日 夜の部

夜の部の最後の演目なんですが…博多座を語るとすればやはりここから。
今回、これを観に来たといっても過言ではないのだ。
2年前、浅草で初めてこれを観て(その時の私は歌舞伎を見始めたばかりでした)大感動し、思わず最後に立ち上がったら、もちろん会場中のスタンディングオベーション。あとでお聞ききしたら、この日がその後度重なる浅草でのスタンディングオベーションの始まりの日だったとか。
そんなこと思ってもなかったらしい亀ちゃんは、半分衣装を脱ぎかけてメイクもなかば落として舞台に再登場したんだった。
そしてこれが見たくてそのあとも何度も浅草に足を運んだ私。
…いつかまたどこかで亀蜘蛛に会いたいと願っておりまして、それが叶えられての博多での再会となりました(^-^)

以下、だらだらと感想です…

ところで、博多の演目についての詳細は、いつもお邪魔させていただいているSwingingFjisanさんのところをぜひご覧くださいませ。とっても詳しく、面白く紹介されていますので。

病の床に臥す主君・頼光(勘太郎)のために宿直をしている家臣の貞光(獅童)・金時(亀鶴)。ここに、女郎蜘蛛(亀治郎)が、童・薬売り・新造・座頭・傾城に姿を変え頼光の命を狙ってやってきます。
この六変化の早変わりと出入り、舞踊がみどころなのですが、
夜中のことで、家臣はふたりとも気をつけねばと思いつつすぐに眠気に襲われてしまうし、蜘蛛と正体を知ったあとでもすぐに取り逃がしてしまうし、おいおいなんとかしなさいよ、と思わず言いたくなっちゃう(笑)。寝ないようにといろいろ算段するおふたりが、立派ないでたちだけになにやら可愛らしい。

最初に童の姿で登場した亀治郎さん、目刺し頭なんだけどあまり子供っぽくない。なにやら奇っ怪なコドモです。笑。
でもその動きは素早く、腰をかなり落としているようでものすごく小さく見える。なんだかお茶を持ってくる、からくり人形みたい。そんな動きを見ているとやっぱり童なんだわ。
と思いきや時折蜘蛛の本性を見せるような妖しげな表情がブキミに光る。そうすると、最初に感じたあの奇っ怪さも、亀治郎さんの手の内だったのかしらと思わされます。

大の大人の二人を翻弄し、次から次と姿を変え思わぬところから登場する亀蜘蛛さん。その早変わりの見事さに、思わず「早やっ!」と感嘆の声が出てしまい、まさに神出鬼没な登退場のさまには「今度はどこからだっ!」(ぜったいに見逃してなるものかー!)と目を皿のようにして会場中に神経を届かせる。まさに一瞬たりとも気をぬけません。
ことに座頭の出では、花道に照明が当たり揚げ幕が引かれるチリン、という音がして観客一瞬そちらに目をやると、なんのことないカモフラージュで、座頭は座敷の床下から登場していました。
…これは、浅草でもそうだったよなあ。と思い私は正面に目を凝らしていたので、床下からくるんと転がり出た座頭をしっかと見ることができましたが、ここで「なーんだ、あっちからだったのかー!」と残念がるのも楽しく一興なり。
舞台の上の貞光・金時のみならず、観客の私たちも、亀蜘蛛さんに翻弄されっぱなし。あぁ翻弄されるのって楽しいぃhappy02

それにしても、亀治郎さんの動きは半端でない。
舞台の隅から隅まで縦横無尽に動き回り、ジャンプしたり、すっぽんの中に飛び込んでいったり、これでもかというほどのエビぞりをして見せたり。そのスピードだけでもたいそうなもの。
舞台の上だけでなく、引っ込んでからは衣装替えからメイクから、次の登場のための場所移動から、こちらの想像もつかないほどの速さでやっているに違いない。
でも出てきたときには、枯れた風情の座頭になっていたり、色気のある新造だったり、妖しく美しい傾城だったりに、すっかりなっているのだから、役者さんとはいえ実にすごいことだと思う。
こうしたエンタテイメント味溢れる演目では、派手な動きや舞台構成についつい目を奪われがちだけれど、その一役ひと役に、いのちを吹き込んでこその緩急、見事なものでした。
それぞれの役に、語りや唄や三味線やはんなりとしたクドキなど見どころがあって、どれもこれも楽しい。亀治郎さんの芸達者ぶりと巧みな構成力を今回も堪能いたしました。
どれも味があったのですが、傾城薄雲がことのほか美しかったなあ。先月の雪姫にもみられたのですが、一種独特な、霞のような、こまかい光の粒子のような、香りを纏いまき散らすような空気感が、生まれてきているのです。すてきでした。こういう空気感には「芸達者」「構成力」にもましてなおいっそうの魅力を感じるのです。

今回は浅草バージョンからさらに進化して、四天王の勢ぞろいに加えて平井保昌(愛之助)も登場、花形七人衆が華やかに勢揃い。愛之助さんの信玄ネタの台詞で笑わせたあと、七人の大立ち回りも見応え抜群でした。亀治郎さん、断末魔の仏倒れもお見事。
とにもかくにもエキサイティングな舞台で、楽しく高揚し、場内湧きに湧く。幕が降りたとたん、弾むように椅子から立ち上がるお客さん。もちろん私も手が痛くなるくらい拍手をし、立ち上がる。
博多座では毎日のようにスタンディングオベーションと聞いていたので、きっと亀治郎さんたちも準備ができていたのでしょう、けっこう落ち着いてカーテンコールに臨まれてました。
みなさん手を振ってくださったり、獅童さんは投げキッスをする大サービスでしたが、センターに立つ蜘蛛の亀治郎さん、パリオペラ座を彷佛とさせるようなノーブルなご挨拶。亀治郎さんらしいっheart04
終わった後も興奮さめやらず、いつまでもいつまでもあの楽しさ空気感を胸に抱いていたいような、そんな舞台でした。

やっぱりこの一本のために、博多に行って大正解!ほんとうに楽しませていただきました。
ありがとうございます!

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コメント

>SwingingFjisanさん、無事に戻りました。お断りなくリンクしてしまってすみません。大作のレポにすっかり私も興奮がよみがえりまして…。
博多はほんとうに楽しくて、早起きして行ってきて良かったです。SwingingFjisanさんも日帰りの強行軍でしたが本当に良かったですね。
実は、とても感動したときは、ものすごく書きたい時と、全然書けない時とがあって、今回は後者です。書きたいことはたくさんあるのに、整理がつかないんですよwobblyでも、例によってメモもとってないしどんどん忘れそうなので、早めにがんばります(笑)

お帰りなさいませ。
mamiさんのレポを拝読して、深夜だというのに、興奮状態が甦ってきてしまいました(拙記事のご紹介、ありがとうございます)。
浅草でスタオベ初日に立ち会われたmamiさんですもの、ご多忙の中、ムリをしてでもいらして、本当によかったと私も喜んでおります。
「霞のような、こまかい光の粒子のような、香りを纏いまき散らすような空気感」。実にいい表現ですね。まさにそんな感じでした。
ほかの演目のご感想もお待ちしておりますね。

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