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2008/03/13

ルノワール+ルノワール

午前中松戸→午後新宿→夕方渋谷、というスケジュールの間に1時間半ほど空きができた。
家に戻れないこともないけど、荷物を持ち換えるくらいの時間しかいられないので、渋谷文化村で「ルノワール+ルノワール」を見ることにする。
これが予想以上に、良かった。

タイトルのとおり、お父さんである画家・ルノワールとその息子の映画監督・ルノワールの作品群を中心とした展示。
私は、不勉強ながら、ルノワールの息子さんがそんなに高名な映画監督だったとは、知らなかった。
映画監督である次男のジャンのみならず、長男ピエールは俳優、三男クロードはココという愛称を持つ陶芸家で、それぞれ妻は女優だったりモデルだったりの、とんでもないアーティスト一家だったのね。

展示はおもに、ジャンの父親への尊敬と思慕の念がその作品に垣間見えるシーンを切り取り、父ルノワールの作品と並べて見せるものだったが、
それは、息子が父親から受けた影響・薫陶・愛情とともに、息子を得たことでの父親の喜びや仕事の充実ぶり、ひいては晩年それぞれの道で大成していく息子からの刺激を受けて父親が彼等と交流をしている情愛の深さをみるところに、ただ作品を見せること以上の感動があった。
単純にいえば、「あぁ親子って、こんななんだなあ。家族って、こうなんだなあ」という感動で、
それはもちろん100年も前に生きていたこの親子の、偉大なアート作品が現在に残っているからこそ得られるものであるけれど、
とかく破滅的な生活ぶりがイメージされるアーティストの多い中、「アートに妥協なく、家族には愛深く」といった風情の彼等の生き方がとても心に沁みた。

ルノワールの多く描いた水辺のシーンは、光と影の演出もそのままにジャンの映画の中にもたくさん出てくるようだし、また楽しそうにダンスを踊る姿は映画の社交ダンスシーンやフレンチ・カンカンなどでも表現されている。
ジャンがどんなに父を大事に思っていたか、父からの多大なる贈り物を自分の中で成長させていったかが感じられる作品たち。

なにもいわなくても、血のつながりは性質を似通わせるし、その生き方思考好みのもの、親の影響なくして子供の成長はないだろう。
そういうふうにして、受け継がれていくものを、確かに見せられたような気がして、とても感慨深かった。
それぞれの作品はもちろん、そんなバックボーンなくしても素晴らしいものなのだけれど、こういう視点でみるとさらに魅力が増してくる。

父ルノワールの作品は夙に見ているけれど、息子ルノワールのは見たことがない(と思う)。
これを機会に、ぜひ、見てみたいと思った。

ちなみに、この展覧会企画と連動して、ジャンの映画を文化村ル・シネマ(4月レイトショー)、国立近代美術館フィルムセンター(4月)で上映するそうである。
ルノワール+ルノワール展は、文化村で5月6日まで。

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