« 萌える | トップページ | 風林火山・千穐楽 »

2008/04/27

四月大歌舞伎・昼の部

4月23日に観劇。日にちがたって、けっこう忘れてきちゃいましたが、簡単に感想を。

今月の歌舞伎座は、仁左玉・勘三郎という人気者の揃い踏みとあって大変な人気、ことに「勧進帳」の夜の部は大盛況とあって、昼の部はそれに比べれば少々大人しめな感じでした。
確かに演目からすると地味だったかもしれませんが、こちらもなかなか見応えがありました。

本朝廿四孝 十種香
筋書きの解説にもあったけれど、ストーリーが二重三重に構成されていてけっこう複雑。
でもそのあたりの組み立てさえ理解すれば、骨子はただひたすら勝頼を思って行動する八重垣姫のお話。
八重垣姫の時蔵さんは実に美しくて、いかにもお姫さまらしい。
でも「姫」としては、かなり思いきった行動に出ているのではないだろうか。それもこれも愛しい勝頼様のため。
勝頼とのシーンは美しかった。橋之助さんはちょっと存在感が弱いような気がしたけど、清廉な雰囲気をかもし出していた。

余談だけど、この演目に「柱巻き」という美しいシーンがあるのだけど、もしかして時様、夜の部の「浮かれ心中」でもおすず、けんかのシーンの柱巻きはこれにひっかけてる…?
あっ、違いますか。失礼いたしましたー(^-^;;


熊野
お能を元にした「熊野」、そのテンポのゆるやかなためか、お昼寝タイムになっちゃった方が多いようでしたが…(^-^; (これが終わった後の休憩で、「あのテンポがねー」「ゆったりしちゃって…(寝ちゃったわ)」という会話をかなり聞きました・笑)
私は大丈夫でしたが…だって先日お能でみた近藤乾之助さんの「熊野」と歌舞伎の「熊野」、ばっちり拝見したかったんですもーん。

玉様仁左様の美しさは格別でしたが、舞台装置もまた美しい。
ことに桜の清水寺の舞台は見渡すかぎり桜の景色、そこに降り立つ美しいおふたり。
乾之助さんの聞き書きに、お父様の乾三さんが、「熊野のワキ(平宗盛)はいい男でないとね」とおっしゃられていたというのを思い出しました。ええ、満点のいい男でございますよ。
でもその男に、愛されてるがゆえに、病の母のものとに帰らせてもらえない愛妾・熊野。
お能とまったく同様に、舞を舞い、歌を書き付けて、主の心をとく熊野ですが、その場面構成や表現方法がやはり歌舞伎ならではの直接的表現になっているのが興味深い。
でも、玉三郎さんは、ほぼ原曲にならって、過剰な演出は加えずに構成されたのではないでしょうか。
お能では脳内フル回転させて情景を映像化していくのが楽しいのですが、歌舞伎のほうではそれを具体的に見せられて、それはそれ、美しさに感じ入って拝見させていただきました。

刺青奇偶(いれずみちょうはん)
正統派の勘三郎さん、こういうお話ですと本当にいい味を出されます。
ちょっと疲れた酌婦の玉三郎さん、やつした身なりながら美しくて色気があります。
なんとも、いいお話ですね。
なにかのインタビューで、勘三郎さんが「夜の部がなんといっても豪華だけれど、昼の部の「刺青奇偶」がういいんですよ」とおっしゃられていましが、なるほど、珠玉の名作です。
仁左衛門さんが、ちょっとしか出てこないんだけど、これが存在感があってすごくいい。
仁左様あって、あとが生きてくるのですが、全体にやはり勘三郎さんの力は大きいです。
しみじみと心に沁みました。


このたびの四月歌舞伎座、歌舞伎界をしょってたつ三人の役者さんが、同じ舞台でこれだけご自分の立ち位置役割を、考えられて演じている、そしてまたそれができる技量がある。
あるときは脇にまわり舞台をひきしめ、あるときは重厚に主役をはっておられる。
そのどれもがほんとうにすばらしく、舞台の上で生きているのです。
それを感じられた素晴らしい舞台でした。

« 萌える | トップページ | 風林火山・千穐楽 »

コメント

>みゆみゆさん、コメントありがとうございますhappy01
TBもありがとうございました。

お能のほうもご覧になられるのですね。歌舞伎ではお能をもとにした演目がかなりあるので、両方を見比べるのも楽しいですね。
ただ、お能のテンポは歌舞伎ファンにはちょっとゆったりしてるようですが…coldsweats01
今回の「熊野」はとても良かったなと思います。

また遊びにいらしてくださいね♪

>>お能では脳内フル回転させて情景を映像化していくのが楽しいのですが、歌舞伎のほうではそれを具体的に見せられて、それはそれ、美しさに感じ入って拝見させていただきました。

私も同感です!!
ちょうど良い感じにお能に華やかさが取り入れられて、わかりやすかったと思います。
あまり能っぽくいのはダメだったんですが(苦笑)、今回はとてもよかったな~と思いました。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/106794/20600951

この記事へのトラックバック一覧です: 四月大歌舞伎・昼の部:

» 四月大歌舞伎 昼の部 [みゆみゆの徒然日記]
 23日の昼夜通し観劇、まず順番は逆になってしまいましたが、夜の部の「勧進帳」から書き、お次は昼の部の感想です。昼の部は3階2列目中央やや上手よりで観劇。 一・『本朝廿四香 十種香』  歌舞伎の三姫のうちの一つがこの『十種香』の八重垣姫。私、実はこの演目は初見なのです。テレビなどでは見たことあるから、見た気にはなっていたけれど(苦笑)で、その八重垣姫を時蔵さんがなさるということで楽しみにしていました。やはり綺麗です!!  許婚の勝頼が死んでしまい(でも死んだのは偽者。)勝頼の肖像画を眺めながら弔い... [続きを読む]

« 萌える | トップページ | 風林火山・千穐楽 »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

お気に入り☆BOOKS

  • 小川洋子: 「ブラフマンの埋葬」
    ブラフマンという不思議な生き物に関わった私の、ゆるやかな変化の物語。
  • 吉本ばなな: 「デッドエンドの思い出」
    シアワセとフシアワセの境目ってなんだろうかと、そのボーダーラインの不確かさはむしろシアワセな贈り物なんじゃないかと思わせてくれた作品。
  • 駒形克己: 「空が青いと海も青い」
    ぜんぶ広げると1枚の紙になってしまう、不思議な絵本。広げたり畳んだりしてみるとまた、構成が変化しておもしろい。書いてあることは、一言なんだけどけっこう科学的。
  • イワサキユキオ: 「Say Hello! あのこによろしく」
    どのページを開いても、満面の笑顔になっちゃう。笑顔なのに、ウルウルしちゃう。子犬たちの成長が、愛情たっぷりの写真で綴られています。
  • 川上弘美: 「椰子・椰子」
    ありえなさそうなんだけど、ありえちゃうような不思議な日々を淡々と過ごす「私」のへんてこりんなお話。山口マオさんのイラストも可愛い。
  • 西岡常一・小川三夫・塩野米松: 「木のいのち 木のこころ 天・地・人」
    寺社建築に携わる二人の宮大工の棟梁のお話。宮大工という未知の世界の話はとても興味深く、また「真」をみるということは万事共通なんだと感じ入りました。

最近のトラックバック

無料ブログはココログ