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2008/05/31

三響会@南座、その2

三響会思い出語り、その2。

能と歌舞伎による 船弁慶
(昼の部/夜の部)

 静    片山 清司(昼の部)
      観世 喜正(夜の部)
 知盛   市川 染五郎

 後見   味方 玄(昼の部)
      味方 團(夜の部)

 笛    一噌 幸広
 小鼓   田中 傅左衛門
 大鼓   亀井 広忠
 太鼓   田中 傅次郎

 地謡   橋本 忠樹/浦田 保親
      観世 喜正/味方 團 (以上昼の部)
      橋本 忠樹/味方 玄
      片山 清司/浦田 保親(以上夜の部)

 唄    杵屋 利光/松永 忠次郎
      東音 味見 純/杵屋 禄丈(昼夜とも)
 三味線  今藤 長龍郎/杵屋 勝正雄
      今藤 政十郎/杵屋 禄山(昼夜とも)


お能おシテ方若手のホープ、片山清司さんと観世喜正さんの競演、ということにも興味を引かれ、それに対する知盛に昼夜とも歌舞伎の染五郎さんというのが興味深い。
ご存じ、歌舞伎の人気演目でもあります。碇知盛は先月も歌舞伎座でかかったばかり。
三響会でも、去年の南座でも披露されていましたし、その前にも何度か上演されているそうです。
去年の船弁慶は、勘十郎さんがすべて舞われていましたので、今回は雰囲気も音楽も、かなり異なる印象でした。

このたびは前シテの静をお能のおシテが、後シテの知盛を歌舞伎方がつとめたわけですが、やはり静というのはとても静謐な悲しみがあります。
この舞がお能方で行われていたので、削ぎ落とされた深みを感じました。(お能の表現の特徴だと思うのですが、あれやこれや具体的な悲しみの表現をしないのですよね。手を数センチだけ動かして顔の前に持っていくだけでーシオリの動作ですがー物語があります)
このとき使われていた面は、どういったものか私にはわかりませんでしたが、正面を向いたり俯いたりするごとに表情が静かにかわり、そのどれもが絵になっていました。

転じて、後シテ知盛になりますと、こちらは歌舞伎のエンタテイメント性を存分に見せてくれます。
動きのある所作、具体的な表現、華のある舞。もちろん隈取りも目をひきます。(この隈取りの染五郎さん、とってもキレイでした)
ことに、最後に知盛が、刀を背中に抱え、ものすごい勢いで回転しながら花道を引っ込んでいったときには、会場中大喝采でした。…このように、役者の演技に拍手喝采がおきるのも歌舞伎ならではですね。お能では拍手、しませんから。

前半と後半で、そうした観客の反応の違いも感じつつ、両者の特性をかなり強調して表現していたと思われるこの舞台。にもかかわらず「ここまでは能、ここからは歌舞伎」といった線引きのようなものを微塵も感じなかったのは、「音楽」の力ではなかったでしょうか。

昼夜で、お二方の静を拝見したのですが、片山清司さんは清冽な印象。この方は謡がとてもお上手で聞き惚れてしまいます。舞はきりっとした印象でしょうか。
観世喜正さんは、お声がよくて深みがあるのに感動いたしました。この喜正さんのおシテの印象が強烈に残りました。素晴らしかった。
でも、私の眼ではまだまだこの違いを味わいきれないところが残念無念。


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コメント

>kirigirisuさん、ただいま帰りました。楽しんでまいりましたよ(^-^)

南座はたいへんな賑わいで、客席も熱気があり、まさに大盛会でした。
京の味付けは…やはり「伝統」というものに対しての揺るぎない「濃さ」を感じます。お客さんも、こだわりのある見巧者が多いという印象を受けました。
レポはまだ続きますので、お暇がありましたらぜひ読んでくださいませ♪

mamiさん、おかえりなさいませ。

京都の三響会は大盛会だったようですね。(^^) 
指をくわえて京都の方を向いて仕事していました(笑)ので、
mamiさんのレポを読ませて頂いて行った気になれてスッキリしました。

京の味付けって薄味?濃い味?渋い味?
やはりお能の発祥(発展)の地に対しての挑戦的な思い、あるいはこだわりのようなものがあるのでしょうかしら。

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