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2008/05/30

京の味付け・三響会@南座

5月28日 三響会 @南座

去年の三響会以来の京都。二回目の京都での三響会、待ちに待っておりました。
今回は昼の部・夜の部で異なるプログラムでしたので、通しで観劇いたしました。
年々進化する「三響会」、今回は観世宗家、観世銕之丞さん、茂山千之丞さんなど、出演陣もいまだかつてない豪華さ。(尤も、銕之丞さんは27日のみのご出演、28日に観劇した私は拝見できませんでしたが、観世宗家、千之丞さんはしかと拝見いたしました♪)

総じて感じたのは、東京で行われている三響会と比べると、明らかにテイストが異なっていること。
プログラムの三兄弟の対談でも、演出・構成をなさっている傅次郎さんが“京都を意識している”ことは仰られていまして、三響会のコンセプトである「伝統芸能とエンタテイメント」という視点は全く変わらないのですが、土地柄と客層を意識したつくりになっているとのこと。
私には京都のお客さんの感受性というのはつぶさにはわかりませんので、逆に、この表現の違いを見ることで、彼等の感じ取っている「京都の感受性」というものを、見せていただくこととなりました。

つらつらと、思い出語りいたします。記憶も定かでないので、間違っていたらごめんなさい。
…あと、一気に書ききれませんでした(笑)今回は「竹生島」「月見座頭」の二本をば。

能と歌舞伎による 竹生島
(昼の部)

 竜神   市川 亀治郎
 都人   中村 梅枝
 弁財天  片岡 孝太郎

 笛    福原 寛
 小鼓   田中 傅左衛門
 大鼓   亀井 広忠
 太鼓   田中 傅次郎

 地謡   橋本 忠樹/味方 團/観世 喜正/
      浦田 保親/田茂井 道

 三味線  今藤 長龍郎/杵屋 勝正雄/
      今藤 政十郎/杵屋 禄山
 唄    杵屋 利光/松永 忠次郎
      東音 味見 純/杵屋 巳之助
 箏曲   小林 露秋/大坪 正秋

ここ3年ほどしか三響会を見ていない私には初見の演目でしたが、三響会にとってはお得意の演目のようです。
竹生島(琵琶湖北部の島だをうです)は神の住む島。もとは神を主人公とした脇能で、のちに長唄の「今様竹生島」が派生したそうです。
三響会ではこれらをとりいれて能の謡と長唄とを交互に演奏し、そのなかで役者さんが踊られる。重厚かつ斬新な取り合わせでございます。

基本的にお能の謡と三味線のつく長唄とでは、リズムのとりかたも音階も、全然違うのですよね。
聴いている私たちには、ぞの変化はとても面白く、心地よい(そのように構成してくださっているのでしょうが)ものですが、これに合わせて踊るとなると…?どうやってリズムをとっているのか?想像がつきません。

前半は都人と弁財天、あとから竜神も登場して、神にまつわるおだやかな寿ぎのやりとりが続きますが、後半は弁財天、そして竜神それぞれのかなり激しい踊りとなります。ことに竜神の踊りは、足さばきがものすごく速く、たいへん見応えがありました。
素踊りでしたので、それぞれの表情もよくみてとれ、竜神のきりりとひきしまっていることには目を奪われてしまいました。(あ、亀治郎さんだからです、たぶん。すみません。笑)
梅枝くんの、神をあがめる人間らしい素直な踊りも、好感が持てました。

お能の謡と歌舞伎の長唄、それぞれの音楽の交流と、それにのった踊りの精密さ大胆さが見どころ。
三響会らしいチャレンジと、古典芸能らしい重厚さを持ち合わせた、見応えある舞台だったかと思います。


舞踏・狂言・歌舞伎 月見座頭
(昼の部)

 座頭   藤間 勘十郎
 男    茂山 逸平
 男    中村 壱太郎

 笛    福原 寛
 小鼓   田中 傅九郎
 小鼓   田中 傅左衛門
 大鼓   田中 傅八郎
 太鼓   田中 傅次郎

 三味線  今藤 長龍郎/杵屋 勝正雄/
      稀音家 一郎/(低)今藤 政十郎
 唄    杵屋 利光/松永 忠次郎/
      東音 味見 純/杵屋 巳之助
 箏曲   小林 露秋/大坪 正秋

去年の秋、演舞場での三響会でやったもの。座頭の勘十郎さん・男の茂山逸平さんはそのままに、もうひとりの男は勘太郎さんに代わり壱太郎さんが出演。
また、演舞場では“語り”ということで、頭と終わりに狂言回しのような役があった(愛之助さんと萬斎さんがなさいました)のですが、今回はこれはなし。あとの構成は演舞場のときとほぼ同じ。
もとは狂言の演目ということもあり、大笑いしたりクスリとほくそ笑んだり…いろんな笑いがつめこまれてました♪

囃子方五名が舞台上に並び、ふたりの男はその後ろから登場するのですが、このときに逸平さん、傳左衛門さんたちに絡みまくり、いつもは真面目な顔して演奏している囃子方を笑わせてました。
こんな遊び心たっぷりのこの演目、ふたりの男の酒を酌み交わして上機嫌になるさまや、座頭の見えているのかいないのかの人をくったような超然としたところなど、たくさん笑わせてくれます。
目が見えないのをいいことに、座頭の持っているお酒を飲んでしまったり、さんざんからかう二人ですが、最後は座頭にまんまとやられてしまい、そそくさと逃げ出す。そのあとしてやったりと、座頭はほくそ笑みながら退場するのですが…。

語りがなくなったぶん、それが担っていた笑いと解説の要素をそれぞれに振り分けてきた印象。
役者さんたちにはその分演じる要素が増えて大変かと思いきや、皆さん楽しそうに演じてられました。
ことに勘十郎さん!
見えてないのに気配でぜ〜んぶ感じ取っている表現がお見事!
見えないと思ってばかにしてるだろうが、そうは問屋がおろさないんだよっ!という強さがあって、明るく笑い飛ばせる演技でした。
もちろん、踊りもとてもキレがあり素敵で、舞踏家の踊り・歌舞伎役者の踊り・狂言役者の踊りと、三様がぶつかりあい溶け合って、そのリズム感もなかなか楽しめたような気がいたします。(あんまりよくわからないんですけどね、雰囲気で…)


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コメント

>SwingingFjisanさん、こんばんは。
レポがなかなか捗らなくて、どんどん記憶が薄れてゆきます…coldsweats01が、がんばって最後まで書かせていただきまするよ♪
亀治郎さんはやはり目をひく、観客の心を掴むのがとてもお上手。指先の美しい動きまで、惚れ惚れと見てしまいます。
梅枝くんは、真摯で正直に芸に向き合っているところがとても清廉な感じで素敵でした。ここ数カ月、みるたびに「上手くなったなあ」と、生意気にも思っています。伸び盛りなんでしょうね。
京都をどのように意識しているのか…いい言葉が思い当たらないのですが…東京の三響会とはゼンゼン違うんですよ。たぶんコンセプトの「伝統芸能」と「エンタテイメント」のバランスの取り方が違うのでしょう。

レポ、ありがとうございます。
亀治郎&梅枝ファンの私としては、この目で見られなかったのが残念ですが、おかげさまで様子が思い浮かびます。
京都を意識したテイストというのは面白いですね。違いを感じ取られたmamiさんの感性も素敵。

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