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2008/06/02

三響会@南座、その3

三響会思い出語り、第三夜。笑。
このようにだらだらと書いているものを、読んでくださっている方がた…ありがとうございまする。
本日は2本。

能 安達原
(昼の部)

 シテ   観世 清和(28日)
      観世 銕之丞(27日)
 ワキ   福王 和幸
 アイ   茂山 千之丞(28日)
      茂山 宗彦(27日)

 後見   杉浦 豊彦
      浦田 保浩(27日)
      林  宗一郎(28日)

 笛    一噌 幸広
 小鼓   吉阪 一郎
 大鼓   亀井 広忠
 太鼓   前川 光範

 地謡   田茂井 廙道/橋本 光史/味方 團/味方 玄
      浦田 保親/観世 喜正/片山 清司/河村 晴道


狂言 五人三番三
 (夜の部)

 三番三  茂山 正邦
      茂山 宗彦
      茂山 茂
      茂山 逸平
      茂山 童司

 舞台番  茂山 千之丞
 鈴渡し  片岡 孝太郎

 笛    一噌 幸広
 小鼓   田中 傅九郎
 小鼓   田中 傅左衛門
 小鼓   田中 傅次郎
 大鼓   亀井 広忠

能 安達原
お能「安達原」と、歌舞伎「安達原」を、並べて観たのが、2年前の三響会@演舞場。それをみてお能に興味がわき、能楽堂に足を運ぶようになったワタクシ。
お能へのきっかけを与えてくださった大切な演目ですが、最初にみたときと、現在の、能楽堂でのお能を(たとえ少なくても)観たことのある今とでは、やはり感じ方が違います。
自分にとっては、そういうとこも、興味深かったですね。

この日のおシテは観世宗家、アイには茂山千之丞さん。滅多に見ることのできない豪華な布陣です。
観世宗家の前シテ(老女)は、せつなかったですねえ。ものすごく「そっと」「ひそかに」生きていて、悲しみがあるのです。
カラカラと、糸車をまわしながら、その糸車と同じように細く単調に存在している老女自身が語られていく。
生きたいのに、生きていくことを諦めたような、そんな風情がある。この前半はことに、動きが少ないので、その中での心理描写の巧が、滲み出ていました。

後半、老女は本性を現し、鬼となって登場するわけですが、このときのほうが大きな悲しみ、大きな苦しみなんだけど、生き生きとしている。エネルギーが感じられるんですね。
山伏の法力に退散していくのですが、観ているこちらが、せつなくなってしまいました。
自らを歪めてしまったからその結果として、鬼となってしまったのに、それをせつなく思うとは…。そして鬼となって生きているときのほうが、生き生きと見えるとは…。不思議なものです。

老女が鬼の正体を表すきっかけをつくるのが、アイの千之丞さんですが、重みがあり、なおかつププと笑ってしまうようなところもあり、この方は持ち味として「重厚」なところがおありなのでしょう、またこの曲においてはそういう役所であると理解してらっしゃるのでしょう、笑えても笑い飛ばせない、深いものが感じられました。

南座の舞台を使っていますので、橋懸かりはなくそのかわりに花道となるのですが、ここを面をつけて演技をしながら通るのって…ものすごいチャレンジなことなのかも…。だって、柱もないし。目印がなにもありませんからねえ。距離も長いし、演出にはとても工夫をされていたのではないかと思いました。
また、やはり音の響きが能楽堂とは全然異なっていますので、能楽堂でよく感じられる「鉛のように質量の高い小さい一点から、膨大に拡張していくような感覚」(←あくまで、私見です。ご了解くださいませ〜)はここにはなく、全体的に会場を覆い尽くす静かな悲しみの波長のようなものが、印象的でした。
観世清和さんのおシテがやはり格段の存在感で、表現にひとかけらの無駄もなし。凝縮された空気感に時のたつのを忘れたほどでした。

狂言 五人三番三
こちらは、華やかで楽しい狂言方(茂山家、勢ぞろい!)の三番三です。
舞台番というのはなにかなと思っていましたら、冒頭、花道スッポンから、千之丞さんと孝太郎さんが登場、歌舞伎でいう「口上」みたいな感じでした。
千之丞さん、最初に重々しくご挨拶をされ(もうほんとにすごい威厳なんです!)、しばらく沈黙しておられるので、会場も緊張して次の句を待っておりましたら、いきなり立ち上がって舞台のほうに動き「レディース、エーンド、ジェントルマン!」
これには会場(その前の緊張感があっただけに)大爆笑でした。
そして、舞台の上にスタンバイしている五人と、三番三の演目をご紹介。
ふつうは一人で踊る三番三を、なんと、茂山家五人で踊っちゃう!(そんな雰囲気の紹介だったので、なんとなく察してください)五人は、端から、まず頭領の茂山正邦、(ご紹介の言葉を失念、すみません)茂山宗彦、上から読んでも下から読んでも茂山茂、なぜか独身茂山逸平、若手のホープ茂山童司…と面白可笑しくご紹介。
そしてもう一度花道に戻り、こんどは重々しく口上をもってスッポンから引っ込まれました。(笑)
口上のときも、うしろに控えている孝太郎さんに「あなたもなんか、いいなさいよ」といったりして千之丞さんオン・ステージという感じ(笑)でした。

さて、本舞台の三番三でございます。
五人で、どのように踊るのかなと思っていたら、ひとりが花道まで出てきたり、舞台上の4人がうしろのちょっと高くなっているセットにのったりしながら変化をつけて、一斉に踊るのです。もちろん全員が舞台上で一列になって踊るところもあり、回りながら動きをとるところもあり。
そのフォーメーション(といっていいのか?)を様々に変えながら、謡いながら、踊る!
すごい迫力でした。
五人が五人、それぞれ動きを止めるところがないので、誰を見てよいものか、目がキョロキョロしてしまいました(笑)。(茂山家、なんとなくみんな似てるんですよね!)
通常の踊りと振り付けが変わっていたのかというようなところまでは私はわかりませんが、きっとあの構成であるならば、かなり工夫を加えていたのではと思います。

中盤、千之丞さんと孝太郎さんによる「鈴渡し」があるのですが、これも(当然ですけど)鈴がたくさんあって、渡す動きも流麗に流れるよう工夫されていましたね。
五人の鈴の音も当然大きくて、迫力ありました!

このようなおめでたい曲は、大人数で踊るとなおいっそう、華やかさが増していいですねえ。
楽しく、いいものを見せていただきました♪

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コメント

>みゆみゆさん、こんばんは。
とっても豪華でした!茂山一門の三番三は、すごい迫力で、南座の舞台が狭く感じるほどでしたよ。みなさん背も高いし…。
なんといっても千之丞さんの存在が、舞台をひきしめていましたね!まさに「舞台番」でした♪

こんばんは。
南座の三響会、本当に豪華ですね。
五人三番三すごそうですね!!
茂山一門は好きなので、拝見したかったです。

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