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2008/06/27

「夏祭浪花鑑」@シアターコクーン

6月18日 昼の部 (勘太郎さんのお辰)
6月27日 夜の部 (七之助さんのお辰)
ともに、平場席最前列で観劇。

5年前の、これで、私は再び歌舞伎にハマったんですよね。ものすごい衝撃を受けて、エキサイティングな夜を過ごした思い出があります。
なのでこのたびの再演がとても嬉しかったし、楽しみにしておりました。
そして今回もとても楽しく観せていただきましたnotes

ひとたびコクーンに入れば、ロビーからお祭りの雰囲気。お団子やお茶、お弁当にビール、「夏祭…」のオリジナル手拭いなど賑やかな夜店が並ぶ。5年前もこんなで、それにも驚かされたっけ。
席に着くと(なんせ最前列だったもんで)泥場に備えてビニールのカッパや風呂敷なんかが用意されている。会場係のお姉さんが、説明にくる。うーん、これ…着てる間に芝居の流れ削げたりしない?もー最前列に座ったからには覚悟して…いやいややっぱり泥はかぶりたくないかーcoldsweats01

そんなこんなでバタバタしてる間に、前芝居が始まる。
最初に登場したのは義平次・笹野さん。お客さんに「シッ、シッ」といいながら機嫌悪そうに通路を通り舞台へ。観客、大喜びで拍手。続いて、お囃子方を含めたほとんど全てのキャストが続々と、客席側から通路をとおって登場。お祭りだ〜♪南京玉すだれや獅子舞をするひとたちもいて、大にぎわい。

…ここで余談その1。お囃子方、お三味線方のみなさん(といっても一部だと思う)も客席から登場し、その中に傅左衛門さんのお姿も!(嬉)ニコニコしながら通路をとおって舞台へ上がり、なにやらお祭りの夜っぽく村人たちとお話してたり。
客席では握手を求める人もいて、私もしたかったけど、タイミング悪く諦め。でも、目の前を通られたときにちょっとご挨拶できたので嬉しかった!confident

と、舞台ではお祭り気分で酔っぱらった男が喧嘩を始める。これ、舞台の下、最前列の前でやってたので、すごい恐かった!(笑)迫力あるんだもん。
そしてそれを止めに、勘三郎さん登場。
威勢良く喧嘩をなだめて落着するも、このときの罪がもとでお縄になってしまうのね。村人たちははけていき、口上役(会期前半は勘太郎さん、後半は七之助さん)が現れ、このお話の発端となるこのときの喧嘩の顛末や、磯之丞の遊行三昧を語る。これはわかりやすい。(←ある意味海外向け)

…ここでちょっと余談その2。勘太郎さんの口上のとき、間にドイツ語の台詞でなにやら滔々としゃべる。観客「?」だったところ、「あれ?みなさんわからないんですか?これから全編、ドイツ語ですよ!」と勘太郎さん。会場大爆笑。勘太郎さんたら客いじりできるようになったのねーshine
あちらでの公演のときは、ここはドイツ語でやったのでしょうね。お勉強の成果を見せていただきました(笑)。

そしていつの間にか舞台は本編へ。
発端となる磯之丞(前半芝のぶさん、後半勘太郎さん)と傾城琴浦(前半七之助さん、後半芝のぶさん)のシーン。芝のぶちゃん大活躍ですな。琴浦の芝のぶさん、なんとも可愛かった。
芝居はわかりやすく、見やすく、テンポよく整理されている。ものすごくスピーディだけど、ストーリーの流れはわかりやすい。
勘太郎さんのお辰が良かった。すごく若さがあるんだけど、女気(というのか?笑)溢れて。色気もあってせつなさもある。もうちょっと年齢が上がったら、さらに「お辰っぷり」も上がるんじゃないだろか。今回のは、若々しさのせつなさが少し多かった。いまの勘太郎さんのお辰。良かったよ。
七之助さんのお辰は、これまた(当たり前なんだけど)若い。で、けなげなの。一生懸命なの。
それぞれに良かった。ここのところ、どんどん上手くなるおふたり、先が楽しみ。

一幕目の見せ場はやはり、祭りの夜の義平次殺しの場。
そこに至るまでの、団七の心の動き、葛藤が、よーくわかった。(のは、二回目に観たとき。一回目のときはもう少しさらっとしていたような…?)
義平次の笹野さん、主要キャストではただ一人の歌舞伎門外。5年前観たときは、いい意味でのその違和感があって、憎々しさとか汚れっぽさが際立ってみえたのだが、今回なんとなくその場に馴染んでいた。憎たらしいのだけど、空気感が馴染んでいるところが、私には少々違和感。外れたところを私自身が期待し過ぎていたのかもしれないが…。

でもあの殺しの場は舞台的に美しい。お囃子や太鼓の音が絶えず響いているところに、この殺しの場の反対側では楽しい祭りがなにごともなく行われていることを感じさせる。
人間の正直さと心の闇がいつも同時に成立しているという象徴的なシーン。
蝋燭と、黒衣の持つスポットライトだけで照らされたこの舞台に浮かびあがる二人の形相が、苦悩や執着や恐れや葛藤や、いろんなものを映し出してそら恐ろしい。
勘三郎さんも笹野さんも、大熱演。ものすごい迫力。最前列で観ていたのでなおさらだったとは思いますが…。泥も水もはねるはねる。ビニールあってよかった。

このあと20分の休憩をはさみ第二幕へ。
二幕では、親殺しの大罪を背負った団七を、なんとかしようと三婦や徳兵衛が必死で算段をめぐらす。
が、団七の罪はすぐに発覚し、以降の大捕物の場へと転換するが、これがまた見応えたっぷり。
捕手たちの動きがめまぐるしく美しく、型を決めトンボをきりどんどん場が変化していく。ことに客席中央で、高々と梯子を組み、その上で勘三郎さんが見得をきる演出はコクーンならでは。
勘三郎さんの動きの激しさはさることながら、捕手の役者さんたちの活躍があってこそのこの場の大迫力。そして、この場では「英哲風雲の会」の和太鼓奏者・上田秀一郎さんの太鼓が効果絶大。上田さんが、役者さんたちの動きを見ながら力一杯たたいている姿、瞳がものすごく印象的でした。

大団円、コクーンの「夏祭…」ではあまりに有名になったパトカー登場のシーン、今回は団七と徳兵衛が舞台奥に走りこんでいくと現れたのはベルリンの壁…(笑)やってくれます。そして、それをぶち破ると今回のパトカーはグリーンの車体のドイツのパトカーでした…。
舞台の奥には渋谷の町が見えて、舞台を逆側から覗いている人々が見える。これがまた、興奮を盛り上げる。
団七と徳兵衛は舞台の奥から手前から、隅から隅まで走り回り、そして舞台中央に戻ってきて幕となる。

うーん今回もエキサイティングな舞台だった。
その場にいることを楽しめる舞台だった。

おおもとの歌舞伎の舞台と、どうしても比較されるし私もしてしまうのだが、これはコクーン歌舞伎で歌舞伎座の歌舞伎とはまったく違う。
殺しの場面も、捕物の場面も、どちらかというと「もとの歌舞伎」のほうが染み入るものがある。切羽詰まったこまやかな感情がある。でも、コクーンのこの、ぐいぐい引っ張ってお客さんを取り込んでいくエネルギーはまた、それに変え難いものがある。
観客も、お芝居の世界に入り込んで深く感じ入りたいというよりは、エキサイティングなお祭りに参加しにいっている感じ。
お芝居の深みとか感情の流れとかより斬新な舞台構成に引き込まれ、エンタテイメントな世界に浸って楽しむ。そんな感じ。
だからカーテンコールも、大盛り上がりでお祭り気分だった。

余談その3。
役者さんたち勢ぞろいのカーテンコールのあと、勘三郎さんがなにかしきりに合図しているのでなにかと思ったら、串田さん登場(27日のほうね)、大拍手に応えて「日増しにお客さんの盛り上がりがすごくなっちゃって…こんなに盛り上がっていいんでしょうか?」と。観客はさらなる大拍手でした。
勘三郎さんも、ひとこと「もうなにも申し上げることはございません。ありがとうございました」とご挨拶。
18日に行ったときよりも27日のほうがカーテンコールの回数も盛り上がりも大きかった。
これでは明後日の千穐楽はどうなることやら。千穐楽のチケットが取れなかったのは残念だけど、この興奮のなかに身を置けた(しかも2回も、最前列で)のは、とても幸せでした。

余談その4。
会場で売っているもののうち、18日はみたらし団子、27日には匂いにひかれてさつま揚げをいただきました。おいしかった。
さつま揚げはその場で揚げて、お醤油を塗ってくれるの。熱々で、食べるのに時間がかかりました。笑。

余談その5。
勘太郎さん七之助さんの特別公演のチラシができていた。11月末から12月中旬にかけて各地を回るようです。東京方面は12/3文京シビックホール、12/12船橋市民文化ホール。詳細はコチラ

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コメント

>Calmenさん、コクーンは通常の歌舞伎とはまったく別物ですので、是非いちどご覧になって!
勘三郎さんは新たな何かを切り開くのが性に合っているのでしょうね、ものすごくエネルギッシュな舞台です。お客さんも巻き込んで、楽しませてくれますよ。

「勘九郎とはずかたり」はまだ読んだことないのですが、面白そうですね。私は、先代の舞台を観たことがないので、おふたりの共演を観られてるなんて、羨ましいです。

>アンさん、たぶん「初めまして」ですよね?(違っていたらごめんなさい)おこし頂いてありがとうございます。
観劇日、ご一緒だったんですね。
和太鼓、良かったですよねえ!お笛の方も素敵だったので印象に残っているんですが、お名前がわかりません。(コクーンのパンフレットって、お囃子方の名前まで全ては書かれてないですものね)
陰惨な親殺しのいっぽうで、夏祭りのように盛り上がった舞台でとことん楽しめましたね。
観終わったあとがいちばん、「また観たい」と思います。

コクーン歌舞伎、見たことないけど面白そうですね~♪

いま図書館で借りた「勘九郎とはずがたり」を読んでます。ずいぶん昔の本ですが…。
勘九郎さん(現勘三郎さん)って、すっごくエキセントリックで面白い方、笑えるエピソードがいっぱい。お父様もそれに輪をかけてユニーク!
ひとりでニヤニヤしながら読んでます(笑)。
お2人の共演を最後に見たのは、歌舞伎座での「身代り座禅」だったでしょうか…。
親子を地でやっていて、何だかほのぼのとして、自然と笑みが沸いてきた。
勘三郎さんのアドリブの上手さって、きっとお父様譲りなのでしょうね…。

そうそう、例の能楽現在形は2度見たかったから行ったので、ご心配にはぜんぜん及びませんですヨ(笑)。

私も27日に観ました!
前回、前々回とも演出が違い、毎回新鮮です。
特に今回は和太鼓・笛の方の熱演に感激でした!!
あの笛の方はどなたなのでしょうか?

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