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2008/09/13

ミレイ展

9月12日。
映画ついでに、会場の近い文化村へミレイを見にいく。
さほどの混雑もなく、鑑賞にはほどよい混み具合だった。

単なる偶然だと思うけど、同じ日に見た映画「赤い風船」「白い馬」の映像世界に似た、色と光の世界だった。私の感受性がそういう方向性だったのかもしれないけれど。
細密に描かれた自然の描写はミレイの得意としたところで、今回の展示の目玉「オフィーリア」の背景などことに有名である。
私が今まで感じていたミレイの作風は、物語性が強いものだと思っていたので、今回の展覧会での解説で、その裏には徹底した写実があることを初めて知った。
写生に写生を重ね、精密なまでに構図を組み立ててから本画製作に入るその手順は、造形的な手法だと思われる日本画のそれと似ている。またその表現もかなり細微にわたってのこだわりが感じられるものだった。

「オフィーリア」はやっぱりすごい力を持った作品で、もしもシェイクスピアのオフィーリアを知らなかったとしてもその情景をこの絵から想像することができるし、またシェイクスピアにうるさい人が見たとしてもこの描き方には納得するのではないだろうかと思う。
尋常でない苦しみと、昇華された清らかさと、女性になりかけた少女の色のゆらぎが、ストレートに心を打ってくる。
この絵の前で思わず泣きそうになって、こんなに後世のひとにいまだに、ものすごい感動を与えるなんて、なんてやつだ、と思ったくらいだ。

それと、心に残ったのが「月、まさにのぼりぬ、されどいまだ夜ならず」という作品。
月はのぼっているが、空の色はまだ暗くはなっていないので、色の差はそんなについていないのだ。だから、近くに寄ると、月は空に埋もれてあまり存在がわからない。でもものすごく圧塗りされているのは、わかる。それが、月なのだと。
ところが引いて見ると、月はくっきりと、同じようなトーンの空に浮かび上がっている。
油彩だからこその表現、といってしまえばそれまでだが、私にはそれがとても興味深かった。
「境界」があいまいな時間。角度によって見えかくれする月。境界の不鮮明さを、私は勝手に感じて面白かったのだ。

ほかには、習作に興味を引かれた。綿密な構図の検討、リアルの検証があったからだ。

ちょっと作為がありすぎたり、華やかすぎたり、と感じるところもあって、「お腹いっぱい」な感覚なところもあったけれど、オフィーリアにはやはり会えて良かった。

ちなみに、次回は「アンドリュー・ワイエス」で、これは好きな作家なので楽しみ。
それから只今開催中の「ベルギーロイヤルコレクション展」(浮世絵)@太田記念美術館 のチラシがあり、これもぜひ見てみたいと思った。
そうこうしているうち、江戸東京博物館での「ボストン美術館展」もそろそろ開幕する。
(今日亀ちゃんは「だれでもピカソ」で浮世絵の解説をしていたしね!)
これは美術展にも忙しい秋になりそう!!(^-^;

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