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2008/10/30

「忠臣蔵」Bプロの感想

10月24日 Aプロ・Bプロ @浅草寺境内 中村座

もう終わってしまった興行ですが、遅ればせの感想を。
Bプロは竹席一階の右から観劇。端っこで、やや後ろのほうではあったんですが、このお席、よく見えました。なにより、前の人の頭で舞台が見切れないのが最高。舞台全体も見渡せましたし、とても満足。
今回は、あとになってチケットをとったわりにはお席に恵まれましたconfidentheart04

さてBプロは五段目六段目から入ります。勘平の勘違いの悲劇ですが、これはAプロの裏門の場を観ていたので「勘平の生き様」がよく伝わってきました。もっと早く気付けば、もっと早く確かめていれば、ということが積み重なって勘平は命を落とすのですが、なぜそのタイミングの悪さを修正できなかったのか、という疑問は、最初の勘平の間の悪さを考えると筋が通るのです。こればかりは「観て初めて」感じるものであって、説明されたから、あらすじを聞いていたから、というレベルのものではありません。
最初の自分の失敗のためにはなから気がひけていますから、何でも後手後手になるのです。負の連鎖というやつです。
だからこそ、その間の悪さで勘平には泣けました。またこの一連のシーンの勘三郎さんが、押さえた演技で心に沁みました。

一力茶屋では昼行灯を演じる由良之助の知謀策略と、一途に勘平を思うおかるの心情が伝わってきます。ここも、細微にわたって丁寧につくられ、浮ついたところがありませんでした。そのあたりを鮮明にしたかったのか、「見立て」はありませんでした。このように見せてくれますと、むしろ登場人物の心境が、素直に心に入ってくるものなのだと感じます。これは今回の筋立てとしたら、良かったと思いました。

討ち入りでは殺陣が迫力。とくに勘太郎くん、七之助くんが格好良かった!若いので動きも良いしね。激しく討ちあっておりましたよ。勘太郎くんにはほれぼれです(笑)。
そしてなんといっても、今回は「引き揚げ」までが上演されたので、それが大きい。主君の仇をうって、ひとりひとりが溢れそうな思いを胸に花道を引っ込んでいくのですが、やはり仁左衛門さんの、最後の表情には泣けました。目的を成し遂げたという達成感。でも主君は戻ってはこないという喪失感。そして、私はこの人たちは、最大の目的を終わらせてしまって、これからどう生きていくのだろう?とせつなくなってしまいました。

「忠臣蔵」は、いかに忠臣といえど、敵討ちの話。話としてはけして好みではないのですが、かかると見てしまう。そして、見たら感動してしまう。
これはどういうことかと、いつも我ながら疑問です。物事に多面性があるとすれば、一方から見た「忠誠心」だけで感動している場合ではないと思うのです。が…。
これは私自身の宿題として、もう少し観じることにいたしましょう。


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コメント

>みゆみゆ様、本当に、お会いできたらよかったですね〜!bearing
みゆみゆ様は遠くから足を運ばれたのですものね。
あいにくの雨で、浅草が存分に楽しめなかったのはちょっと残念でしたが、中村座は素晴らしかったですし、良かったですね。
同じ空間であの感激が味わえたのかと思うと嬉しいです。

次回、機会がありましたら、ぜひお会いいたしましょうねnotes

同じ日に観劇だったとは偶然ですね。
本当お会いしたかったです。

私もA・Bと通しで観たかったです(^^:

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