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2008年10月

2008/10/31

今月の一本:2008/10

今月は…(見ない見ないといいながら)やっぱり後半にまとめて観ましたcoldsweats01

【舞台】
10/4 塩津哲生の会 @喜多能楽堂
10/21 十月大歌舞伎 昼の部 @歌舞伎座
     十月大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座
10/24 平成中村座「忠臣蔵」 Aプロ @浅草寺中村座
     平成中村座「忠臣蔵」 Bプロ @浅草寺中村座
10/27 十月歌舞伎公演「大老」 @国立劇場

見事に月末にかたよっております…(笑)
そして中盤は、何か見たくてしようがなくて、ビデオ3本見ちゃいました(笑)
「転々」「Always三丁目の夕日」「Always続・三丁目の夕日」です。
「転々」はなかなか良かったです。「Always…」は評判どおりでなかなか泣けましたhappy01。続編はとくになくても良かったかも〜。

ちょっと、今月はなかなか難しい…でも…一本あげるならこれかなあ。

平成中村座「忠臣蔵」Aプロ

小屋で大序をみる。ざわざわした中で。
小屋で、手の届くような近くで、四段目を見る。
そして、裏門の場を見たことであとの勘平の悲劇が深く掘り起こされる。
「小屋で昔ながらの筋立てで」という企画にはまりました。

でも菊五郎さんの直次郎も色気があって素敵だったし、芝翫さんの藤娘も至芸でしたし、吉右衛門さんの井伊直弼も大きくて良かった。芸、ということになるとこちらかもしれません。
たくさん、楽しませていただきました。


↓それとは関係なく、まったくの余談。

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2008/10/30

「忠臣蔵」Bプロの感想

10月24日 Aプロ・Bプロ @浅草寺境内 中村座

もう終わってしまった興行ですが、遅ればせの感想を。
Bプロは竹席一階の右から観劇。端っこで、やや後ろのほうではあったんですが、このお席、よく見えました。なにより、前の人の頭で舞台が見切れないのが最高。舞台全体も見渡せましたし、とても満足。
今回は、あとになってチケットをとったわりにはお席に恵まれましたconfidentheart04

さてBプロは五段目六段目から入ります。勘平の勘違いの悲劇ですが、これはAプロの裏門の場を観ていたので「勘平の生き様」がよく伝わってきました。もっと早く気付けば、もっと早く確かめていれば、ということが積み重なって勘平は命を落とすのですが、なぜそのタイミングの悪さを修正できなかったのか、という疑問は、最初の勘平の間の悪さを考えると筋が通るのです。こればかりは「観て初めて」感じるものであって、説明されたから、あらすじを聞いていたから、というレベルのものではありません。
最初の自分の失敗のためにはなから気がひけていますから、何でも後手後手になるのです。負の連鎖というやつです。
だからこそ、その間の悪さで勘平には泣けました。またこの一連のシーンの勘三郎さんが、押さえた演技で心に沁みました。

一力茶屋では昼行灯を演じる由良之助の知謀策略と、一途に勘平を思うおかるの心情が伝わってきます。ここも、細微にわたって丁寧につくられ、浮ついたところがありませんでした。そのあたりを鮮明にしたかったのか、「見立て」はありませんでした。このように見せてくれますと、むしろ登場人物の心境が、素直に心に入ってくるものなのだと感じます。これは今回の筋立てとしたら、良かったと思いました。

討ち入りでは殺陣が迫力。とくに勘太郎くん、七之助くんが格好良かった!若いので動きも良いしね。激しく討ちあっておりましたよ。勘太郎くんにはほれぼれです(笑)。
そしてなんといっても、今回は「引き揚げ」までが上演されたので、それが大きい。主君の仇をうって、ひとりひとりが溢れそうな思いを胸に花道を引っ込んでいくのですが、やはり仁左衛門さんの、最後の表情には泣けました。目的を成し遂げたという達成感。でも主君は戻ってはこないという喪失感。そして、私はこの人たちは、最大の目的を終わらせてしまって、これからどう生きていくのだろう?とせつなくなってしまいました。

「忠臣蔵」は、いかに忠臣といえど、敵討ちの話。話としてはけして好みではないのですが、かかると見てしまう。そして、見たら感動してしまう。
これはどういうことかと、いつも我ながら疑問です。物事に多面性があるとすれば、一方から見た「忠誠心」だけで感動している場合ではないと思うのです。が…。
これは私自身の宿題として、もう少し観じることにいたしましょう。


2008/10/27

「大老」

10月27日 11:30〜 @国立劇場大劇場

「大老」千穐楽を拝見してまいりました。
幕末の情勢はただでさえ複雑でわかりにくいところがあるのですが、このたびの「大老」は井伊直弼の人柄と、水戸藩との対立に絞られていたので、この頃の知識にそれほど詳しくない私にも非常にわかりやすく見ることができました。

まず、井伊大老・吉右衛門さんはさすがの貫禄と表現力、温かさでした。ことに今回は、妻お静との温かな交流と、政策にあたっては水戸藩への制圧と暗殺まで、という削ぎ落とされた構成でしたので、その対比がより鮮明でした。
水戸藩の面々も穏健派と急進派にわかれていて、そのために悲劇的にも対立することになった兄弟・古関新一郎と次之介ですが、これを実際のご兄弟である歌六さん歌昇さんがやっていてちょっとリアル。血気盛んな弟と、なだめる兄…という立場での熱演でした。
いっぽう力づくで条約締結を迫るヒュースケンの大谷桂三さん、ハリスの澤村由次郎さん、外人にしか見えませんでした。立ち姿も、外人そのもの。というよりも、その頃の人が見た外国人の印象がこうだったのでは?と思える印象でした。歌舞伎役者からみたリアル外国人のつくりというか(笑)。
お静の魁春さんが、控えめななかにも女心を滲ませて非常に良かった。対する正妻の昌子、芝雀さんはおおらかでお嬢様な雰囲気で、お静にやきもちをやくことなど考え付きもしないような感じ。
仙英の段四郎さんが、禅師らしい包容力と達観した風情があり、地味ながらとても素敵でした。激動の時代にあって、登場人物すべてが揺れ動いている中で、ひとり異なったその風情が安心感というか、心の落ち着きを与えてくれていたようでした。

全体的に、役者さんのバランスがとても良かったのと、大人数での立ち回りや混乱の場面での役者さんたちの処理の仕方動かし方などの演出面でのまとまりがとてもよく、舞台として見栄えしましたし、見応えもありました。
以前に、見取りで千駄ヶ谷井伊家下屋敷の場を見たことがありましたが、そのときはお節句に時期なのに雪が…というシーンにあまり心を動かされなかったのを憶えています。感動どころなのだとは思いましたが、いまひとつ感情移入できなかったのです。が、今回は直弼の心理も、世情の流れも、その立場立場での人々の思いなど、前半で丁寧に描写されていたので、このシーンにしみじみと泣けてしまいました。お静とのやりとりも、ひとつひとつが心に滲みました。
最後の桜田門外の場も、立ち回りの迫力とともに、逃げずに討たれその意志を吐露した直弼の姿にはぐっときました。
立場の違い考え方の違いはあれど、皆が国のことを真剣に考えて行動していた時代。その人の心にせまってみれば、それぞれに愛おしい思いに溢れていることを、強く感じた舞台でもありました。

ちょっと余談↓


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2008/10/26

おしらせ

横浜松坂屋の写真をアルバムにアップしました。
ご興味のある方は、右サイドバーのアイコンから入ってくださいませ〜♪

ちなみに、いつもお邪魔させていただいているブログヨコハマの二郎さんも、素敵な写真をアップされていますので、そちらにもぜひ。

幕を閉じる日

伊勢佐木町の松坂屋が今日をもって閉店ですweep
たまたま仕事で横浜方面に行くことになっていましたので、その帰りに寄ってきました。
松坂屋は子供の頃から慣れ親しんだデパートです。いまでこそ、みなとみらいにお客さんを持っていかれていますが、昔は横浜市民は、買い物といえば伊勢佐木町でした。「銀ブラ」ならぬ「伊勢ブラ」という言葉があったくらい。いまは、ちょっと寂しい感じになってしまいましたが。。。
少々成長してからは、趣味でやっていた日本画の、グループ展を毎年、ここでさせていただいていました。美術部の方たちには、素人相手に(先生はとっても立派な方なのですが、生徒である私たちはほとんど趣味の域でしたので)よく面倒をみてくださり、お世話になっていました。
いろんな意味で、思い出深いデパートです。

今日が最終日とあって、松坂屋は人でいっぱい。いままでこんなに人で溢れている松坂屋、失礼ながら見たことありませんでしたcoldsweats01
セールが目当ての人のほかに、松坂屋をカメラにおさめようとたくさんの人が…。私も、受付で「撮影許可証」なるものをいただき(携帯カメラでも必要だったsweat02)下手な写真を撮ってきました。
それをちょっとご紹介しますね。

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↑外観。ミナトヨコハマを彷佛とさせる建築なんです。

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↑名物・エレベーターの表示板。時計じゃないですよ!
この針がくるくるとまわって、エレベーターがいる階を表示してくれるんです。情緒ありますよね!

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↑こちらはエスカレーターの手すり。すべてアールデコ様式のデザインなんですね。

歴史ある建物なので、随所に味のあるデザインが残っています。
今日初めて知りましたが、なんと144年間の営業だったということで…
松坂屋さん、店員の皆様、ほんとうにありがとうございました。
伊勢佐木町のシンボルが消えてしまってちょっと寂しい。でも仕方のないことなんですね。。せめて下手な写真たちを、記念にアルバムにアップしようと思います。
ありがとうございました〜!weepheart

2008/10/25

「忠臣蔵」Aプロの感想

10月24日 平成中村座「忠臣蔵」Aプロ・Bプロ @浅草寺境内・中村座

深夜、何度もポチッとしそうになりながらも「いいや私はこれは我慢!」と思っていた10月の平成中村座でしたが、日頃おじゃましているブロガーさんたちの感想を読むにつけ行きたい気持が盛り上がり、ついに…ということで、初志貫徹ついぞせず。しかもAプロBプロ通しという思いきりのよさ(なんちゃって)。
運よくいお席を譲り受け(Aプロは松席、花道よりの四列目!)秋晴れ続きであったのに、この日だけなんと豪雨となった、平成中村座に行ってまいりました。

人形口上からはじまり幕があき、一体一体の人形がそれぞれに役となって動きだし、いよいよお芝居の始まり。この「大序」の荘厳な雰囲気には実にわくわくします。ひとりひとり、息が吹き込まれていくそのさまに、観客である私たちもどんどん期待が高まっていく感じ。とともに、その格調高い儀式性が、歌舞伎ならではという嬉しさを運んでくれる。でもいっぽうでは「これは舞台の上での話なのだ」という心構えもつくってくれるのです。(時代的にそういう演出が必要だったのでしょう。話が進むにつれ、どんどん感情移入してそんなことは忘れてしまいますがね)

さてそこでさっそくに、師直のいじわるぶりが披露されますが、この橋之助さんがまさに「大いじわる」です。猾くて好色で欲深で自己中。なのですが、とにかく「大きい」ので、この人物がそれなりに地位を築いているのが得心できる感じなのです。私の中では、橋之助さんて「いい人」「好青年」なイメージが強かったので、ここまでスケール感のある意地悪役をなさるとは、驚きでした。

そしていじめられる判官(勘三郎さん)と若狭之助(勘太郎さん)。若狭之助は若々しい正義感に溢れていてすぐにカッとしてしまう。それをなだめる判官は、穏やかで忍従の人なのですが、この勘三郎さんの「目」が、死んでいる目なのにはびっくりしました。自分を押し殺して、ずっと耐えている人の、生気のない目でした。
それが、いよいよ堪忍袋の緒がきれて爆発してしまう(「松の間刀傷の場」)、そのときの感情の入り方が、すごかった。師直にこれでもかと嫌味をいわれ罵られ馬鹿にされ、フッと小さな炎がその目に宿るのです。それでもそれを懸命に押さえようとしているのに、どんどんその炎は広がっていってしまう。そして目だけでなく、からだじゅうからそれが出てきてしまうのですね。
それは、いつもの勘三郎さんの「爆発!」といった感じの演技ではなく、実に押さえた味わいで、炎が広がっていくさまでさえ本当に微かな(でもしっかとそう見て取れる)ものでした。
判官の目に生気が宿ったときの行動がこんなことなんて…本当に悲しいことです。

実はこのシーンのとき、浅草はこの日一番と思われるような豪雨。仮説小屋の中村座では、雨音がものすごく響きます。さめざめと降っている程度ならばよい効果音なのですが、さすがにこのときは、屋根が破れるかと思うような勢い。橋之助さんがネチネチといじめている台詞が、ほとんど聞こえませんでした(T_T)。(松席前方の私でさえそんなだったので、後ろの方は全然だったのでは…?)台詞の応酬、芝居の組み立てからすれば残念な事態でしたが、反面、おふたりの表情に集中できて、師直のいやらしさや前述した判官の心境の変化など、「感覚で」観じとることができたのはむしろ良かったのかもしれません。
このシーンだからこそ、呼応するかのように大雨だったのかとも感じました。

そして「裏門の場」、主人(判官)の一大事に駆け付けたが「色にふけったばっかりに」一足遅れた勘平(勘太郎さん)。口惜しくも後悔先にたたず、おかる(七之助さん)にすすめられてやむなくおかるの実家に行くことになります。
筋として知ってはいても、こうして舞台で観ると、一段と受け取り方が深まります。
その後の勘平の悲劇にも(自分でまいた種とはいえ)深みが出てくる。このシーンを見たいがためにAプロを取ったのですが、良かったと思いました。

四段目、切腹にあたり何度も由良之助はまだかと問いかける判官。それをいちいち確認しにいく力弥(新吾くん)もせつない。「まだでございます」「まだのようでございます」…。
やむなく小刀を入れたところに、息せき切って由良之助(仁左衛門さん)が。ひと目会えたとあとを託し絶命した判官を、愛おしむように衣服を正し、手から小刀を離そうとする由良之助。が、断腸の思いを表すかのように、判官の手は小刀を持ったまま凍り付いたように開かない。それを、暖めるように包み込み、一本、一本、指を離していく由良之助に、ポロポロと泣けてしまいました。思いきりの愛情で判官を包み込んでいるのが手に取るように感じられたのです。仁左様本当に素敵でした。

亡くなった判官の屋敷を明渡したその門前で、復讐にいきりたつ志士たちを諌める由良之助ですが、自身も密かな仇討ちを決意する。この時、判官が自刃した小刀を大切に懐にしまうのですが、それとともに判官の家紋の入った提灯を愛おしそうにたたみこれも懐にしまうのが、印象に残りました。
屋敷はなくなっても、刀は判官、家紋の入った提灯は判官の家そのもの。このふたつを胸に、由良之助の意志はいっそう強く固められていくのでしょう。

全体に、いつもの自由な実験的な中村屋さんのイメージとは全く異なった、古典に忠実な味わいの舞台。カーテンコールも、もちろんなし。
この端正な味わいのものを浅草の芝居小屋でやるということが、いまとても重要なような気がいたします。昔ながらの、本質に戻すような、味わい。
中村屋さんの面々だけでなく、ここに仁左衛門さんが加わられていることが、その味わいをさらに深いものにしてくださっているように思いました。

以下、余談。

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2008/10/24

大雨の浅草

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今日は朝から浅草へ。そうです、いよいよの「平成中村座」です。
Aプロ、Bプロの通し観劇です。
本当は今月はパスするつもりだったのですが、いつもおじゃましている他ブロガーさんたちの感想を読んでいたら、やっぱり猛烈に行きたくなってしまって…coldsweats01

そして、本当に、行って良かった!楷書の中村屋。感動しました。
途中、ものすごい雨で、台詞もかき消されるほどでしたが…終演のころにはすっかり雨も上がり。
「観劇」というよりは「芝居見物」という感覚を、堪能させていただきました。

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↑夜の雷門。ピンボケご容赦!


2008/10/23

空気が柔らかい

今日は打ち合わせで葉山に行きました。
せっかくなので、打ち合わせのあと、一緒に海辺に足を伸ばしました。
もうすぐ雨が降りそうでしたけど、朝は快晴、太陽の光は東京より強いみたいでした。
風は大きく広く吹いていました。

気持ち良かったあ。

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2008/10/22

十月大歌舞伎昼の部

10月21日 久々な感じの歌舞伎座へ。
午前中のお仕事で、「重の井」と「奴道成寺」見逃しちゃった。残念。「魚屋宗五郎」は見逃せないわ〜!と頑張って滑り込み。良かったよかった。

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「魚屋宗五郎」歌舞伎暦の短い私なのに今回でもう三度も観ております。勘三郎さん×時蔵さん、幸四郎さん×魁春さん、そしてこの日の菊五郎さん×玉三郎さん。それぞれに味があるのだけど、今回の組み合わせが私的にはいちばん好きかな。勘三郎さんの茶目っ気、幸四郎さんの男前、その間の感じの菊五郎さんなんだけど、「間」という表現はとりあえず便宜上なので。
菊五郎さんにいつも感じるのは、ものすごく庶民的で親しめるところと、ピリッと決まったところのめりはりがあって、そのどちらにも他方の香りを感じさせない。そこが、好き。飲兵衛でしょうもない宗五郎だけど、人間的な親しみはあるけどけして品が悪くならない。そこのところは歌舞伎役者さんて必須項目だろうと思うけど、菊五郎さんはそのさじ加減がことに絶妙だと思うのだ。
玉三郎さんのおはまは、けっこう抑えめの演技だったような気がするけど、それがまた、やり過ぎてなくて良かった。
おふたりの、ほんのすこしの絶妙なさじ加減の応酬だったような。そしてねえ、菊五郎さんて過剰過ぎないんだけど、色気があるのよねえ。
あ〜楽しかった。キーワードは「過剰でない」。大人のさじ加減、ですな。

「藤娘」、傘寿の芝翫さん。傘寿って、齢八十のことだそうで、いままで知りませんでした…。
筋書きによると芝翫さんの「藤娘」は六代目菊五郎さんの型を次いでいるのだそうだ。「藤娘」もこれで三回目。海老蔵さん、福助さん、そして芝翫さん。これまたいままでで一番、可愛らしかった。たいへん失礼ながら、いままで芝翫さんをとってもいい、と思ったことはあまりなく、今回初めてすごい方なんだと思った。すみません。
とにかく八十歳などと感じさせない動きだし、ふとした仕草が本当に可愛らしく、踊りはキビキビしていて小気味良かった。
そう、キビキビしているのだ。なのに、酔った風情は清々しい色気があって、でも変に尾をひかない感じだったのが不思議な魅力だった。なんというか、うまく表現できないけど、「藤の精」の世界を見せていただいた。薫りをいただいた。その場の空気の、粒子のひとつひとつまで、いつもと違うみたいだった。
こういうのを「至芸」というのね。
そしてまた、唄が良かった。詞章もよく聞き取れたし。笛がまたよかった。
素敵だった。これは、本当に、観れて良かった。

ということで、最初の二演目見逃した昼の部なので感想もさらっとしてますが、よかったよかったの大満足です。
少しの間、観劇を自粛してたということもあって、歌舞伎座の席についただけで嬉しくて、ニコニコしちゃった。演目をみてまたしてもニコニコ。
楽しい観劇でございました。

2008/10/21

十月の歌舞伎座

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歌舞伎座の建て替えの発表があった翌日の今日、偶然にも前から予定していた、昼夜通しでの観劇に行ってきました。
いつかくるだろうと予測はしていても、いざ正式に発表となると、なにやらザワザワと、落ち着かない、淋しい気持ちになります。
1年4ヶ月にもわたる「さよなら公演」、そして2013年の再開までの休止期間ー。長らくのお別れです。そして、今の歌舞伎座とは永遠のお別れ。
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休憩時間に売店に行ったら、お客さまがお店の方に、この歌舞伎座がなくなっちゃうなんて淋しい、といった主旨のことをお話されてました。お店の方も「そうなんですよね、ここにしかない“味”があったんですけど…」
老朽化も、バリアフリーのことも、みんなよくわかっています。
でも、昔からあった、昔ながらのこの「味」が、失われてしまうのはお名残惜しすぎるのです。。。
今日の歌舞伎座では、そんな会話があちこちで聞かれました。

ビルになっちゃうのかー。
私は村野藤吾さんは好きだけど、なんばの新歌舞伎座のデザインは好きじゃない。ああいうふうにならないで欲しい。
せめてファサードだけでも、現状のものをどこかに残してくれないかしら。
あの細工、あの軸組、あの装飾…などなど、いつも以上に、そしてともすればお芝居以上に、歌舞伎座の隅々を見なおしてしまった、本日の観劇だったのでございました。

お芝居の感想は、またあらためて。

歌舞伎座いよいよ

建て替えが決定したようですね。いま朝のニュースでやってました。
来年の1月から1年3か月にわたってお別れ公演。
再開は2013年からということです。
なんかビルの中に入っちゃうらしい…。
あの外観はどうなるのでしょう…。
とりあえず、さよなら記念公演とかいっちゃって、チケット代が高くならないことを願います。

2008/10/19

終了〜!

今日試験が終わりました〜パチパチ。
といっても、全然できませんでした。試験終了後、いろんなところで「回答速報」なるものがあって、そこで自分の回答を照会できるというわけ。で、どうも合格点には足りなさそうな気配ですgawk
なんだか忙しくてね、今日も試験の前後、お仕事でした。これだけは避けたかったんですけどねえ…。
なんかバタバタしちゃった。
また頑張らねばー!punch(というか、もういっこ勉強しようとしている私は無謀でしょうか・笑)

まあ。
というわけで、来週はちょっと抑えめにしていた歌舞伎に、いよいよ参ります。
歌舞伎座と平成中村座。楽しみです〜happy01
ただね、それらを控えると、やっぱりいろいろ時間が取れることも(当たり前ですが)わかりました。笑。
あれもこれもとついついとめどなくなってしまうのですが、ちょっと考えてからにしようかなあと、思った次第でございます。(でも今日、能楽現在形のチケット、取っちゃったけどbleah

2008/10/16

いざ浅草

今月はお芝居を控えているワタクシ。
とある行事のため、遊びに出ることを、少々控えております。
なんですが、だんだん限界がきました〜!(プルプル)
今月の平成中村座には行かない予定だったのですが、行事が終わったあとのチケット、取ってしまいました〜!happy02
ああどうしよう…我慢のあとの爆発が…こわいー。

でもとりあえず、秋の浅草散歩が楽しみです…。

2008/10/15

「転々」

転々 プレミアム・エディションDVD転々 プレミアム・エディション

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2008/04/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「時効警察」コンビの三木聡×オダギリジョー…というかほとんど時効ファミリー総出演…の「転々」、上映中から観たかったのだがつい見逃していた。このたびやっとDVDで鑑賞。
借金のカタに、町金の取り立て屋(三浦友和)の「散歩」につきあうことになった青年(オダギリジョー)の、ふたりの散歩の話。
この散歩の内容たるや、取り立て屋がひょんなことから妻を殺してしまい、自首するために歩いて霞ヶ関まで行くというもの。
その間に、いろんな、キテレツなことが起きるのだが…。

「旅」じゃなくて「散歩」というのがいい。出くわしてしまういろんなことが、ごく身近な気分になるから。
「家族」じゃなくて「偽装家族」なとこも、自首するまでが「散歩」っていうとこも、途中で出会ったシュールなアーティストも、普通っぽいけど普通じゃなかった時計屋のおじちゃんも。そして「散歩」が終わる前の晩に、最後に食べたいのがカレーライス、ってとこも。
散歩して散歩が終わることが、生きて死ぬことにも重なってきてしまった。
なんのことはない普通の風景が、嘘かホントかわからないいろんなことが、そしてまた、とんでもない常識はずれなことが、普通に、小ぶりに、平坦に、キラキラ愛しく見えた。

最後に、なんの特別な言葉もなく、取り立て屋は警視庁に走っていってしまって、残された青年が「なんだよ…」とつぶやくだけなのも、良かった。
日常は、そんなことで、できている。

ちなみに、先に死体を発見されてしまうと自首は成立しない、という伏線で、妻の生前のパート先の面々(岩松了、ふせえり、松重豊)がお見舞いに行こうとしつつ、のらりくらりといろんなことにひっかかって、なかなか発見までゆきつかない。ほとんど「時効警察」の時効管理課のノリでツボに入りまくり。
三日月さんまで友情出演していて、ちょっと、やっぱり、三木聡、やってくれるじゃないと嬉しいかぎりだった。

2008/10/13

天高く。

空も高くなりました。

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都会の空はこんなふうに見えます。
ビルの影。窓の光。空の青。

これはこれで、キレイだなあ。


2008/10/12

またもや忘却の彼方

今日なんの気なしに、チケットWeb松竹を見たら、11月顔見世@歌舞伎座のチケットが、もうとうに売り出されているじゃないですか!(歌舞伎会先行のぶんです)
うっかり忘れていました。shock毎月10日はチェックしてたはずなのにー。crying

ということで、遅蒔きながらチケットを、少しでも良さそうなところが取れる日を選んで、取りましたが…。やはり希望に近いところはもうありませんでした。戻りを待とうかなーと思いましたが、それもまた忘れるといけないので…coldsweats01

ここのところ、チケット発売日を忘れる確率がとみに高くなっている…気をつけないと!ちなみに、来週末も「能楽現在形」のチケット発売が控えておりますのよ…今度は忘れないようにしなくちゃ!

2008/10/11

準備万端

たのんでいた「ほぼ日手帳」が届きました。
留守がちでしたので、やっと今日受け取れたのだnotesえへ。
皮のカバーをふたつも持っている私は、手帳のレフィルだけを購入。
…でも毎年、いろんなオプションを、ついつい注文しちゃうんですよねー。

今年は(すごい高いのに)ルーペを買ってしまいましたcoldsweats01実は私、去年の「ほぼ日手帳」アンケートで、ルーペがほしい、って書いたんですよね。だから希望が叶ったんですけど。でも私のイメージしてたルーペはお安い下敷きみたいなの。ほぼ日で販売されたのは、すごい立派なカード型のルーペ。
どうしようかさんざん迷った挙げ句の注文だったんですが、これが大正解!
コンパクトでよく見えるし、ケースからルーペを全部引き出すと小さいランプが点灯するようになってるし。これで、細かい図面なんかもばっちりさ!ってな具合。お値段なりのことは十分にありました!

それに加えてフォトアルバムもゲット。これは、名のとおり写真が入れられるクリアポケットが10枚くらいついてるものなんだけど、写真だけじゃなくて、切手とかなにかのチケットとか半券とか、レシートとか…のこまかいものの整理に役立つ!と思って。
それに、無料だったので、ほぼ日版「新潮文庫の100冊」bookも注文しちゃいましたー!happy01こゆうの、けっこう楽しい♪

てことで来年の手帳は、準備万端♪これが揃うと来年の準備がしっかりできた気がします!
うれしーいheart

…いや。待ってよ。
まだ3か月近くあるのだし。今年。
今年だってやろうよちゃんと。
早くも気持ちが来年に飛んで、今年をおろそかにいたしませんように。笑。

…さて来年は、ターコイズブルーの革カバーにしようかなーnotes

2008/10/09

父と過ごせば

昨日、父に付き添って病院に行きました。
高齢の父は今でもしっかりと自分の足で歩きますが、ものすごくゆっくり。私なら普通に歩いて10分ちょっとの道のりでも、20分くらいかかります。そのうえ疲れて息切れしてしまうので、途中で1回か2回、必ず休憩します。
一緒に歩くとき、いつもは極力ゆっくり歩いたり、ときどき追い抜かしては先でちょっと待っていたりしますが、昨日は「私の体をどう使ったら父と並んで歩けるか」をプチ研究してみましたcatface
いろいろやりましたが、ひざをくっつけてちょこちょこ歩くと、わりと丁度良い感じscissors
でもこれは見た目がヘンですからあまりできませんね(笑)。
ものすごいピンヒールにタイトスカートとか、ぽっくりに着物とか(花魁かい!)だと父とおしゃれに歩けそうかもcoldsweats01。いずれにしてもかなりおしとやかに歩かねばならないので、普段ドタバタ走り回っている私には難行苦行です。
こうしたことは、歩く時に限らず全般にあることで、父と一緒にいると時間の流れの速さが全然ちがいます。

私はマイペースで生活していますが、仕事しながら、家事しながら、こういう父と一緒にいれるのはどれくらいだろう?とよく考えます。(父の余命ということではなく、私の我慢という意味で)
そして同時に、そんなこと考えている自分も情けない、とも思います。父のお世話も十分にできないで何やってるのかな、と。

社会に出ていると、スローペースなひとに合わせづらくなりますが、そういう時間の過ごし方をしているひとも、確かにいる。逆に、一般社会のバタバタした時間の過ごし方って、どうなのだろうと思ったり。どっちにもいつでも、機嫌良く対応できる私になりたいなあ。
父といると、そういう、いろんなことを、ついつい考えるのでした。

2008/10/08

おしらせ

わたくしの操作まちがいで(苦笑)10/5〜10/7の記事がアップされてませんでした〜!
なので3日分まとめてアップしました。
ちなみに、保存してた日にちのままアップしてるので、日にちだけさかのぼってます。
「塩津哲生の会」の感想もあげてますので、よろしかったら、ご覧いただけたらうれしいです♪

それにしても、下手うちました〜(←ナニワ金融道で、緒形拳さんがいってた)bearingsweat01

2008/10/07

拳さん逝く。

名優・緒形拳さんが亡くなられた。
大好きな俳優さんだったので、とてもショックだった。
ついこの間、元気(そう)にテレビに出ていらしたのでは?ついこの前までドラマの収録をしてらしたのでは?
という急なことであった。
とはいえご家族にはもちろん急なことではなかったらしく。数年前から患ってらして周囲には漏らさず仕事を続けられていたとか。

意志が固くて、真剣で、温かくて、懐が深そうな、そんなお芝居をする方だった。
去年の「風林火山」での軍師役は知性的で、父性も垣間見え素敵だった。格好良かったなあ。
ずっと見ていた「ナニワ金融道」というドラマの、ワルそうな社長役。「必要悪」という言葉そのものに、ダークな部分にも愛があることを滲ませていた。
ずいぶん前の映画「楢山節考」、地べたを這うような演技で衝撃的だった。

いろいろなところで拝見していたが、どれも印象に残る。というか、緒形さんが出てるんだったら見たいなと思わせてくれる役者さんだった。

「風のガーデン」、見てみようかなあ。

合掌。

2008/10/06

「西の魔女が死んだ」

西の魔女が死んだ (新潮文庫)Book西の魔女が死んだ (新潮文庫)

著者:梨木 香歩
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

映画化もされていますが、映画は未見。
何の気なしに読んだけど、心に残った。
たまたま昨日も書いていた、「魂と肉体」にまつわる話だ。
感受性の強い主人公の女の子・まいは、いろんな社会のことに疲れて学校にも行けなくなってしまい、おばあちゃんのところで暮らすことになるが、意外にもここで「自分で考え自分で決める」という魔女修行をすることになる。

ここにはいくつもの印象的な事柄が描かれる。
毎日規則正しく生活すること。鶏から卵を毎朝もらってくることで、得られる食べ物に自然と感謝するようになること。魂は肉体をもって初めて学びと成長ができるというおばあちゃんの話。直感を大事にすること。直感を大事にしすぎると執着になるということ。
そして、それらを全部、ひっくるめて、自分で考え自分で決めること。

でもそれは、魔女になることなのかしら?
ほんとの人間らしく、なるってことなのではないかしら?
それを「魔女」といわなきゃならないほど、今の状況がズレているということか。…それは、とても不本意な状況にほかならないなあ。
みんながその「魔女」というやつになったら、それはとてもシアワセな世界になるのにね。


2008/10/05

塩津哲生の会

10月4日 第六回 塩津哲生の会 @喜多能楽堂

塩津さんは、春の乾之助さんの試演会のときに拝見して、強く印象に残っていた方。
その塩津さんが主催される会に、乾之助さんも舞われるということで、行ってまいりました。

仕舞 船弁慶
哲生さんのご子息、圭介さんのお仕舞。いやいや若い知盛でした。
勢いがあって若々しい。ものすごく力が入っている。そして、そんな中に、哲生さんを彷佛とさせる「武士っぽさ」が見えたのが嬉しくもあり魅力的でもありました。
乾之助さんの試演会の時に「鞍馬天狗」を舞った颯一郎さんの初々しい姿を思い出しました。

舞囃子 遊行柳
乾之助さんの舞囃子。大鼓に亀井忠雄さん、笛が藤田六郎兵衛さんと、私的に最強。
「遊行柳」は初見。緩急に富んだ構成でドラマチックな仕立と覚えました。が、主題は実にシンプルで本質的なもので、これまた私的に好もしく、乾之助さんの舞もある境地を超えた独特の品格があったので、たいへんに没頭いたしました。
乾之助さんを拝見しているといつも、肉体と魂のことを思います。芸がついてくると体がついてこなくなるとは、よくいわれることですが、確かに一理ある。けれども体が動きにくくなっているからといって衰えているとは私にはとても思えないのです。むしろ、その時々のご自分の役割というものを、十二分に悟って行うことのできる、そのことが私の心を打つのです。
それは今年のお正月に、歌舞伎座で雀右衛門さんをみたときも同じでした。
乾之助さんにはこの「遊行柳」という「命題」が、とても合っていたように思いました。

狂言 金岡 大納言
これは、面白い狂言でした。
絵師金岡が妻以外の美しい女性に恋をし、嫉妬した妻に「絵師なのだから自分の顔をその女性のように美しく彩れ」とつめよられ、絵筆で妻の顔に彩色するのですが、これが実際に舞台の上でなされるのです。狂言でこんなの初めてみましたが、解説によるとこういう表現はこの「金岡」のみにあるということ。
実際に、このたびの彩色は「おかめ」か「おてもやん」のようで爆笑してしまいました。が、ここでタイミングが悪かったり、彩色したものに品がなかったりすると笑えない。難しいところなのでしょうね。
妻の嫉妬ぶりには思わず歌舞伎の「身替座禅」を思い出してしまいました。

能 卒都婆小町
本日の大一番。「卒都婆小町」は老女もので、年をいった方が勤められることが多いのですが、まだ60代の塩津さんは、体の動くうちにぜひやっておきたいとのことでの挑戦だったそうです。
私は「卒都婆小町」を拝見するのはこれまた初めてですので、他の方と比べることはできませんが、塩津さんらしい、骨太で重厚な「卒都婆小町」だったと思います。
構成が複雑で、話も長いし、舞も入らないし、初心者の私には内容についていくのでいっぱいいっぱいでした。
でも、総じて感じたことは、やはり塩津さんは、最初に感じたとおり、どこか武士っぽいのです。無骨というか、頑固というか、地に足をしっかりつけたような「土」のエネルギーを感じます。そしてとても力強い。
なので、私が(台本の)「卒都婆小町」から想起したイメージですと、もっと負の浮遊感があったのですが、それとは異なる印象でした。
またぜひ、別の方のも拝見してみたいと思いました。そしてまた、塩津さんのほかの曲も、たくさん見てみたいと思いました。

↓以下、余談。


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2008/10/04

ユメ10

出会った人によって、時によって、場合によって、対応を変えるときって、あるでしょう。
あるいは、この人にはこれは話しておくけど、こっちは話さないでおこう、とか。
…そんなことが全然できなくなっていました。昨日のユメの中で。

ある人に会っていた。「これとこれを、やっておきましょう」「そうか、そうですね」
そしてまた次の人に会う。「○○さんがね、言ってたわよー、絶対無理だって。だって、やってないでしょ、あなた」
ええっ。なんで。お知り合いだったんですか???
そしてまた別の人に会う。
「それがだめならね、これをするといいのよ」
えーっ。なんでまた。なんで話、つながってるのー?
でもってまたまた。
「いやだって、思ってるでしょう、そう思ってるうちはダメ」「いやなことにもダメなことにも、教えられることはあるんだから」「気付いたらやってみなければ」

私は、どこにいても、なにをやっても、みーんな見透かされていたのさ。
うーん。
これはもしかして、「いろんな人」じゃなくて、私の中の内なる声。
「本質」さんが、いってることなのかしらね。

2008/10/03

風とおしのいい家

今日のとあるミーティングで、なんとなく(あるいは必然的に)「風とおしのいい家」という話になった。
もともと建築とか、空間とかに携わっている方とのミーティングだったので、それぞれの空間への思い入れとか、ひいては自分が生まれ育った家はどんなだったか、という話に。(自分自身の、空間に対する思いの原点だよね、てことで)

私の育った家は、純日本建築である。といっても、そんなに立派なものではなく、昭和中期の、ごくごく平均的なものである。
玄関を入ると3帖ほどの畳の間があり(いまでいう玄関ホール、というものか)それをはさんで左側の南面が座敷、右側に家族の茶の間とか台所、和室なんかがある。いろいろ増改築をしてはいるが、基本は変わっていない。

小さい頃、床の間の脇の書院に腰をかけ、足をブラブラさせながら弟とおしゃべりしていると、足下の砂壁がぽろぽろこぼれ落ちる。もちろん、その感触が面白くて足をブラブラさせているのだが、母に見つかるといたく怒られた。いま思えば全部NGである。書院に腰掛けるのも、砂壁を落とすのも。子供心には「弟と仲良くおしゃべりしていたのに、なにがいけなかったんだろう?」(当時弟とは出会えばけんかだった)と思い、でもそれからは書院に腰かけるのは、やめた。

お風呂にはいるときは、土間からはいった。いまでいうきちんとした脱衣室はなかった。子供だからなんにも困らなかったが、母などは気兼ねだったろう。後年、ここはおちおうは仕切れる、土間ではない脱衣室になっだが、それでもお年頃になった私は、なんだか他から見えてそうで、いやだった。

弟がタバコを吸いはじめた頃、本人は必死で隠していたけど、部屋という部屋には欄間がついていたので、煙が筒抜けである。どうせわかってるんだから、言っちゃった方が楽になるのに〜と言ったけど、弟は頑として隠し続けた。いま思えば隠れて吸ってるのも、スリリングで楽しかったのかもしれないけど。

そんな家だったので、家じゅうの建具を取り除けばほとんど、ワンルームのような体裁になった。
若い時私はそれがいやだった。
プライバシーはないし、お友達が来たって内緒の話はできないし、だいたいポスターとか絵とか、飾りたいお年頃なのに、壁がない。なんだか安心して暮らせなかった。
キッチンも、お風呂も、トイレも、使いづらかった。

そんなだから、ものすごく風通しのいい家だったんだろう、と思われるだろう。
ところが!
実家には、家のど真ん中、それこそ「臍」にあたる部分に、作り付けの収納が集中していたのだ!Oh!…というわけで、プライバシーがないのに、風通しはえらく悪かった。光も、奥の部屋にはあまり入ってこなかった。
だから、風通しのいい家にとても憧れた。
プライバシーも保てて、家族がみんな集まれるような、明るい光に溢れた家が、理想だった。

いま思えば、この「不便な」思いが、私の住空間への思いの原点である。
いままでは、これが大嫌いで仕方なかったのだが、今日いろいろはなしたおかげで、そういう家だったからこそ、今の私の仕事につながっているのだなと…。
初めて、感謝いたしました。
いままで、気付かなくて、ごめんなさい。そして、ありがとう。

2008/10/02

およばれでした

お引き渡しして間もないお客さまのところに、お食事会のおよばれで行ってまいりました。
長年やっていますが、こういうことって、なかなかめずらしいんですよ!
なにかに絡めてというのはありますが、こうしてわざわざのお招き。ただでさえお引っ越しやら何やらで忙しい時期、お招きくださるなんて気持ちの余裕、なかなかないですよね。

すでにリタイアしていて、にもかかわらず海外単身赴任中で大活躍のご主人が、このたびの引き渡しのために一時帰国なさっていたので、その間にと、お忙しいさなか手料理を用意して待っていてくださいました。
ご主人は、もともと研究熱心な方だったのですが、この日も、この家の新築のためにご自分が読んだいろいろな本を教えてくださったり、あそこが成功した、ここはもう少しだったなどとご意見を聞かせてくださいました。そして、この家を建てるために本当にたくさんの人が関わってくれて、出来上がったあとにもこうして遊びにきてくれて、こんな嬉しいことはない、と感動の涙。
そんなふうに思ってくださるなんて、私たちも感謝、感激でした。

「これが最初で最後、にならないように、また遊びにきてくださいね!」とお見送りされ、温かいご家族にまたまた感動。
こういう方って、ご近所づきあいもとってもよくされているので(立て替えでした)工事中も、ご近所のご理解とご協力をいただいてとてもスムーズだったのです。
打ち合わせ中も、エネルギーはあるし、お話は楽しいし、新しい家に対する情熱と希望があるので、とても充実していました。

幸せに暮らすための家をつくりたい、と常々思っていますので、こうして新しく移り住んで、幸せそうなご家族の表情を見せていただいて、私たちもとても幸せでしたheart02
こんな幸せが、どんどん増えていったら、いいなあconfidentshineshine

2008/10/01

ワンカップの旅6

ものすごーく久方ぶりです。
すっかり忘れておりましたが、そもそも私が「ワンカップの旅」をしよう!と思い立ったきっかけの、奈良美智さんのA to Zカップ。これを探しに行こうじゃないの!
ってことだったんですけど、なかなか出会わなくて忘れちゃってた。
…そしたら、友人がくれました。

持つべきものは、友。

これでござんす。↓
200810012049000
こおんな、かわいい奈良美智さんのイラスト入り。3タイプあったんですね。

で、これが、これまた↓
200810012050000
こおんな、かわいいお家の形の箱に入っちょります。

友人も、長らくあたためていたらしく、製造年月日が去年のだった。
でもお酒だし、大丈夫だもんねー♪
ってことで、早くもいただいてみましたが、お味は普通でしたわ。

思い出しちゃったから、また旅に出ようかしらね〜♪

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お気に入り☆BOOKS

  • 小川洋子: 「ブラフマンの埋葬」
    ブラフマンという不思議な生き物に関わった私の、ゆるやかな変化の物語。
  • 吉本ばなな: 「デッドエンドの思い出」
    シアワセとフシアワセの境目ってなんだろうかと、そのボーダーラインの不確かさはむしろシアワセな贈り物なんじゃないかと思わせてくれた作品。
  • 駒形克己: 「空が青いと海も青い」
    ぜんぶ広げると1枚の紙になってしまう、不思議な絵本。広げたり畳んだりしてみるとまた、構成が変化しておもしろい。書いてあることは、一言なんだけどけっこう科学的。
  • イワサキユキオ: 「Say Hello! あのこによろしく」
    どのページを開いても、満面の笑顔になっちゃう。笑顔なのに、ウルウルしちゃう。子犬たちの成長が、愛情たっぷりの写真で綴られています。
  • 川上弘美: 「椰子・椰子」
    ありえなさそうなんだけど、ありえちゃうような不思議な日々を淡々と過ごす「私」のへんてこりんなお話。山口マオさんのイラストも可愛い。
  • 西岡常一・小川三夫・塩野米松: 「木のいのち 木のこころ 天・地・人」
    寺社建築に携わる二人の宮大工の棟梁のお話。宮大工という未知の世界の話はとても興味深く、また「真」をみるということは万事共通なんだと感じ入りました。

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