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2008/10/03

風とおしのいい家

今日のとあるミーティングで、なんとなく(あるいは必然的に)「風とおしのいい家」という話になった。
もともと建築とか、空間とかに携わっている方とのミーティングだったので、それぞれの空間への思い入れとか、ひいては自分が生まれ育った家はどんなだったか、という話に。(自分自身の、空間に対する思いの原点だよね、てことで)

私の育った家は、純日本建築である。といっても、そんなに立派なものではなく、昭和中期の、ごくごく平均的なものである。
玄関を入ると3帖ほどの畳の間があり(いまでいう玄関ホール、というものか)それをはさんで左側の南面が座敷、右側に家族の茶の間とか台所、和室なんかがある。いろいろ増改築をしてはいるが、基本は変わっていない。

小さい頃、床の間の脇の書院に腰をかけ、足をブラブラさせながら弟とおしゃべりしていると、足下の砂壁がぽろぽろこぼれ落ちる。もちろん、その感触が面白くて足をブラブラさせているのだが、母に見つかるといたく怒られた。いま思えば全部NGである。書院に腰掛けるのも、砂壁を落とすのも。子供心には「弟と仲良くおしゃべりしていたのに、なにがいけなかったんだろう?」(当時弟とは出会えばけんかだった)と思い、でもそれからは書院に腰かけるのは、やめた。

お風呂にはいるときは、土間からはいった。いまでいうきちんとした脱衣室はなかった。子供だからなんにも困らなかったが、母などは気兼ねだったろう。後年、ここはおちおうは仕切れる、土間ではない脱衣室になっだが、それでもお年頃になった私は、なんだか他から見えてそうで、いやだった。

弟がタバコを吸いはじめた頃、本人は必死で隠していたけど、部屋という部屋には欄間がついていたので、煙が筒抜けである。どうせわかってるんだから、言っちゃった方が楽になるのに〜と言ったけど、弟は頑として隠し続けた。いま思えば隠れて吸ってるのも、スリリングで楽しかったのかもしれないけど。

そんな家だったので、家じゅうの建具を取り除けばほとんど、ワンルームのような体裁になった。
若い時私はそれがいやだった。
プライバシーはないし、お友達が来たって内緒の話はできないし、だいたいポスターとか絵とか、飾りたいお年頃なのに、壁がない。なんだか安心して暮らせなかった。
キッチンも、お風呂も、トイレも、使いづらかった。

そんなだから、ものすごく風通しのいい家だったんだろう、と思われるだろう。
ところが!
実家には、家のど真ん中、それこそ「臍」にあたる部分に、作り付けの収納が集中していたのだ!Oh!…というわけで、プライバシーがないのに、風通しはえらく悪かった。光も、奥の部屋にはあまり入ってこなかった。
だから、風通しのいい家にとても憧れた。
プライバシーも保てて、家族がみんな集まれるような、明るい光に溢れた家が、理想だった。

いま思えば、この「不便な」思いが、私の住空間への思いの原点である。
いままでは、これが大嫌いで仕方なかったのだが、今日いろいろはなしたおかげで、そういう家だったからこそ、今の私の仕事につながっているのだなと…。
初めて、感謝いたしました。
いままで、気付かなくて、ごめんなさい。そして、ありがとう。

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コメント

>みゅぅさん、生まれ育った家は、やはりその後のその人の生活習慣や生き方考え方なんかに影響が大きいですよね。
それがマイナスであれプラスであれ、「影響」ということだと思います。
その経験を「進化」させていこうと思ったのが、いま考えれば私の仕事への原点でしたね。

こんにちわ。
わかります!
私も今の自分の「家、しいては家族」というもの基礎って、もう今は両親も引越してしまったけれど育った「家」にあると思います。
私は団地暮らしでした。
玄関はほとんど使わず、南向きの居間(台所付き)の前に付けた良く言えばウッドデッキ(そんなに素敵なものではないけれど)から出入りしてました。
そして、居間を抜けないと2階の部屋にもトイレにもお風呂にも行けないんです。
そして、部屋も妹と共同でダブルベッド。
プライバシーなんて無かったですね~。
そして、部屋にテレビが入った高校生になってもやっぱり居間で家族4人が過ごすことが多かったです。
そんな家族になりたいです。
今のところ、主人とは自然にそういう家族になってます。
仕事から帰ってくるとずっと2人でリビングにいます。
もし自分が家を建てるなら、絶対外せないのはやっぱりリビング階段。
顔を見合わせることが多い家にしたいです。
妹もそうしました。
なんて、長々と書いてしまいました。
ついつい私もお話に交ざった気持ちになってしまいました。

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