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2008/11/10

でかしゃった!伽羅先代萩

11月10日、花形歌舞伎@新橋演舞場 夜の部の簡単な感想。
この日は昼夜通しでの観劇。昼からいきたいところですが「伽羅…」がことのほか良かったので、こちらから書いちゃおう。
お席は昼夜とも、3階右一列の、いちばん正面席寄りだったので、花道はよーく見えたけれど舞台の右は1/3ほど見切れる。オペラグラスを持っていっても役者の顔がわかりにくい(最近また視力が落ちた?)のですが、舞台の様子も花道も楽しめて、なかなか良い場所でした。

伽羅先代萩
「伽羅…」は何回か拝見しましたが、その中でも格別に心に残っているのは菊五郎さん・仁左衛門さんの政岡・八汐。なので今回の政岡・菊之助さん、八汐・愛之助さんと聞いたときは花形とはいえ若いんじゃないの〜と思いました。でもそんな心配はいらぬこと、と最初の政岡の一声で吹き飛ばされました。
菊之助さんの政岡の声の出し方。単に低く太くしているのではなく、腹の底から出ているような、政岡の覚悟と意志を感じさせるような、声だったので。
対する八汐の愛之助さんも、このうえない深みのある意地悪。これまた腹の底に策略陰謀をめぐらせているのが感じられる風情でした。
もちろん菊五郎さん仁左衛門さんとは比較などできませんが、まさに「でかしゃった!」と。

先に「竹の間」の話から入ってしまいましたが、その前の「花水橋」、これがあったので「お家騒動」の端がみてとれ、あとの段がわかりやすくなりました。やはり「通し」はいいです。
頼兼の亀三郎さんがいつものことながら口跡もよく、すらりとした印象で素敵でした。

さて政岡・八汐の対決については、前述したとおりの好演・熱演だったのでたいへん見応えがありました。子役ちゃんたちもお上手だったしね。ほんとに、あんなに長い台詞をリズムよく、よくいえるなあとそれだけでも感心してしまうのに、けなげで泣かされます。
でも正直、お二人の存在感が大きく、他の出演陣が少々影が薄かったかも。あ、吉弥さんの松島は、独特の存在感で良かったですが。

そして「問注所対決」の松緑さんがこれまた良かったです。台詞だけで弾正を追いつめていく盛り上がりを出さなければならず、とても難しいと思うのですが、台詞もよく内容もわかりやすく段々と追いつめていく緊迫感が客席にも伝わってきて、ちょっとドキドキしました。
でもって悪事を暴かれた弾正の海老蔵さんは、次の「刀傷の場」での立ち回り、ことに見得をきる迫力が素晴らしく、こういう海老蔵さんを見ると歌舞伎観にきたー!良かったー!って思うのですよね。彼は本当に「ミスター・カブキ」だと思います。
最後に外記を舞わせるのね、以前段四郎さんの外記でみたときは、もう舞はいいから早く休ませてあげてー!などと思ったものでしたが、今回(男女蔵さん)は舞が短かったような…?男女蔵さんは花形のなかにあっては老け役をされることが多くて、でもいつもやっぱり年は隠せなくて気の毒なこともあるのですが今回は(遠目に見ても若く見えたけど)なかなか味わいがありました。

全体に、やっぱり「通し」は良かった。
そして、それぞれの役者さん、段によってその力量に少々バラツキはあったものの、諸処にはっとするような演技があって、これからどんどん深みが増していくのではと思わせる余白が感じらました。
千穐楽までにどんどん進化されるのではないでしょうか。(私は今回これ限りの観劇予定ですが)楽しみです。

龍虎
愛之助さんの龍、獅童さんの虎が天空をかけめぐり対決するという舞踊。
衣装替えを三度、毛振りあり、毛振りをしながらの引き抜きあり、舞台装置の岩山などを駆巡っての大きな動きもあり、もりだくさん(今思えば)な舞踊だったのだが、なんだか焦点がぼやけているような気がしていまひとつ盛り上がれず。
内容的にはエキサイティングさを狙ったものではないのだろうかと思うけど。
お二人の息があってないようには見えなかったので、全体の構成と、踊りの技術?うーん。
拵えはとっても格好よかった。
三階右の席だったので見えなかったけれど、お三味線が大好きな松也さん。相変わらずねばっこくて艶っぽい音を出されます。もうこれだけでドラマチック。素晴らしかったです。


以下余談。


3階の右席は、初めてでした。
ほとんど正面席に近い(あの、角の隅っこのところね)だったので、舞台も比較的よく見えるのではと思いましたが、やっぱり1/3ほどは見切れてました。
でも、後ろをあまり気にしないでちょっと乗り出したりできるので(というより少々前屈みにならないとよく見えないの)花道はばっちり見えるぶん、楽しめました。
でも椅子に深く腰掛けられないので、お尻がいた〜い。休憩時間にロビーの椅子で深く腰掛けてお尻を休めましたわ(笑)。

舞台写真は、まだ出てませんでした。
今月はもう来ないので、筋書きを求めましたが、舞台写真が入っていないかわりに、花形五人衆の写真が1ページにおひとり、どどーんと!そういえば舞台写真が入る前の、演舞場の筋書き買ったの初めてかもしれません。こういう構成なんだー。お写真、みなさんなかなか素敵でした♪

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コメント

>はなみずき様、コメントありがとうございます。
菊之助さんの政岡は、お父様によーく習ったんだろうなあという努力のあとと、菊之助さんならではの味わいもあって、実によかったですよね。今後、お父様のように当たり役になられるような気がいたしますhappy01
はなみずき様も若さをご心配されていたようですが、ほんとうに杞憂でしたね。

演舞場の脇の席は、おっしゃるように研究のし甲斐がありますねwink以前2階の左脇から観て、あまりに見切れていたのでこれで2等席なの〜?と思ったことが…coldsweats01花道もよく見えませんでしたので。
こればかりは経験してみませんとね。

コメントが遅くなって、ごめんなさ~い。
本当に、花形の、大好きな皆さんで「先代萩」に臨まれるのは、期待でもあり、年齢的にどうか…と思う部分もあり…でしたが、そんなこと、杞憂でございましたね。本当に皆様の頑張りに、「でかしゃった!!」でございました! 菊之助丈は、mami様のおっしゃるとおり、誰と比べる…というわけには参りませんが、冷静で、それでいてとても繊細に大役・政岡を演じていらっしゃいましたよね~。松緑丈の長台詞も、天晴!でございました。拍手っ。

演舞場の3階横は、かなり舞台正面が見切れますよね。でも、観劇座席位置は、研究し甲斐のある劇場でもあると思っています(笑)。

>non様、こんばんは。
菊五郎さんの政岡はたしか歌舞伎を見始めた頃に観劇したのですが、それまで歌舞伎の筋にいまひとつ感情移入できなかった(だって主君を守るために自分の子供の命さえさしだすなんて、今じゃ考えられませんもの)のが、これを見て初めて物語に没頭できたという思い出がありますcoldsweats01そのときの八汐が仁左衛門さんで、これまた素晴らしかった。
今回は菊之助さんも愛之助さんも本当に頑張っているなあと感心しました。若手の成長が見れると嬉しいですね。(って、なんか親戚のおばさんみたい…bleah

レポ楽しく拝見しましたhappy01
mamiさまはお父様の政岡もご覧になっているんですね。羨ましいな。
菊之助さん、依頼が来た時は逡巡したという話ですが(当然ですよねまだお若いですもの)なんのなんの、政岡の悲哀をよく演じていたと思いました。
愛之助さんも憎々しい八汐で、なかなかの女形っぷりのようですね。

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