« 「『源氏物語』の色辞典」 | トップページ | ハニー・ハニー・ハニー »

2008/12/03

勘太郎七之助特別公演

12月3日 中村勘太郎・中村七之助 特別公演 夜の部 @文京シビックホール

例年のごとく舞踏劇の構成によるおふたりの特別公演、文京シビックホールはこの旅公演の2か所目となります。まだまだこなれてないかな、とチラッと思いましたが、全くそんなことはなし。お二人ともお稽古を積まれたのでしょうね。とても楽しめました。
まず「舌出し三番叟」でお二人揃っての踊り、そして芸談、間に中村屋若手による踊り「風流陣」を挟んで、七之助さんの「雪傾城」勘太郎さんの「まかしょ」とお一人づつの踊りも披露。
「舌出し三番叟」の、儀礼的性質を忠実に表現しながらも、舌を出す表情はさすがにコミカルな味があり、いつもの「三番叟」とはちょっと異なる風情。いままで見ていたものですと三番叟(勘太郎さん)がたくさん踊る演目なのですが、これに限っては千歳(七之助さん)の踊りの部分もとても多く、入れ替わりの変化も楽しめました。三番叟の踊りも他と比べるとリズミカルで力強く、動きも激しい印象でした。「三番叟」はやっぱり、ご祝儀の踊りなだけあって、はんなり華やかなキラキラ感が良いですし、お二人の若さに似合っておりました。
「風流陣」は若手が頑張っていましたねー。桃・仲之助さん、桜・仲四郎さん、風神・いてうさん。みなさん一生懸命な感じ。梅の澤村國久さんがはんなりと、締めていました。
「雪傾城」、七之助さんがきれいー♪でした。新造役で鶴松くんが大活躍。ずいぶん大きくなって、女形の踊りもとっても綺麗になよやかに、こなしていてびっくり。子役ちゃんだと思っていたけど、もう立派な役者さんですね。おふたりともとても風情がありました。
「まかしょ」の勘太郎さん、シンプルな舞台構成・衣装なのに、舞台いっぱいの存在感。キビキビと踊り、色のない舞台(雪景色に白い衣装)なので色事の話のくだりなど、表現も多様でコミカル、後味のよい踊りでした。

今日、演目以外に印象に残ったのが「三番叟」のときに後見についてらした小山三さんと小三郎さん。舞台上のたたずまいが美しく、ことに踊っているふたりを見ているときの表情、姿勢が格別に素敵で、踊っているおふたりも見たいのに、後見さんにも目がつい惹き付けられてしまい、困ったものでした。
ことに小山三さんは、後ろに控えているときは、人形かと思うほど身じろぎもしない。まばたきさえしてないのではと思うほど。でも、準備のために動き出すと、ああやっぱり小山三さんだった、と思うのです。弟子としてやってきた、その誇りと、お二人を支える気概や温かさを感じ、こうして支えていただいて大きく羽ばたこうとしているお二人の姿も焼きつけられました。
それぞれの役割を、懸命に全うされようとしている。そんなことをこの舞台から感じて、私はとても有り難く、幸せでした。

200812031618000
↑文京シビックホール最上階の展望台から。夕日がとてもキレイ。夕日のすぐ後ろに富士山が見えたけど…携帯しか持ってなかったので良く映ってませんね…残念。

↓以下「芸談」のミーハー的ご報告。


今回の司会は、テレビでも見かけたことのある、武藤まき子さん。お二人のことは小さい頃から良くご存じらしく、「近所のおばちゃんみたいですよ」と二人に言われながら、リラックスした雰囲気で芸談スタート。
まず、お二人でのこうした特別公演も四年目を迎え、お二人ともとても感謝しています、とご挨拶。すると武藤さん「小さい頃はやんちゃでやんちゃで、こんな日がくるとは…」と本当に親戚のおばさんみたい(笑)。

「ご自分たちの小さい頃のことは覚えてますか?」との質問に、意外とはっきり覚えているとのこと。また、自分達のことではないけれど、橋之助さんがお子さんの初舞台のときに、白塗りの下の顔がもっと白い!というくらい緊張されていて、親というのはああいうものなんだな、と思ったとか。その子(国生)が今では舞台大好きになっていて、自分で台本考えたりしているんだからやっぱり「血」でしょうかねえ、と。武藤さんに「ご自分たちではそういう経験はないの?」と聞かれ「ありますよ!『地獄めぐり』というお芝居をつくりました!」と勘太郎さん。自分が船頭で、七之助さんが船に乗った武士で、地獄を巡るのだそうです。三時間の大作だったとか。「観客は?」の質問に「父です」「なにか言われました?ちゃんと見てくれるの?」「ちゃんと見てくれますよ、型になるようなことについては直されたりしました。話にはなにも言われませんでしたけど」…そうやって子供の頃から遊んでいたんですね。

「そのお父さんをより受け継いでいるのはどちら?」と聞かれお互いを指差していましたが、兄の強さか(?)七之助さん、ということになり、なんでも「歯磨きのしかた」がそっくりなんだとか(笑)。
七之助さんいわく「歯磨きのCMに出ている人はなんであんなにキレイに磨けるのか。自分は口からぜんぶ、ダラダラとでちゃって、肘まで濡れちゃうんです」勘太郎さん「歯ブラシに、歯磨き粉つけ過ぎなんだよ」といわれ「いちど歯ブラシの長さいっぱいにつけて、上を磨いて、下を磨く時にもういちどつけて、前を磨く時にもういちど…」「付け過ぎなんだよ!」
「でも歯磨き粉の会社は喜ぶんじゃないですか?CMに…」という武藤さんに勘太郎さん「ダラダラ格好悪いから、絶対ダメだと思います!」
そのお父様は今アリゾナにいるそうです。
いままで忙しかったですものね、という武藤さんに「そうですね」と。でもお二人も今年は全然休みがなかったとか。

また、ふたりで演ずる演目が多く、夫婦だったり恋人だったりいろいろですが、それはやりやすいの?との質問に「やりやすいです」と即答。兄弟で夫婦や恋人、ってちょっと気持ち悪いかもしれないけれど、舞台の上のことでは、ずっと一緒にやってきているので、ちょっとした呼吸も合いやすくやりやすいそうです。

会場からも質問を受け付けました。
まず「ご結婚はいつ?」といきなり核心(?)をついた質問に勘「さあ…」七「僕は高校生くらいまですごく結婚したかったんですけど、今は願望がなくなっちゃった」
「早く幸せになって欲しいんです!」という質問者に勘太郎さん「今も幸せですよ〜!」と訴えていました(笑)。
二人で映画をやるとしたらどんなものがいい?という質問には勘「タッチ!」と即答したもののこれは冗談だったらしく、そのあとは答えに詰まり、逆に「どんなのがいいですか?」と質問者におかえし。「同じ女性を好きになるとか…」といわれるといきなり勘「あー僕昼ドラとか出てみたい!『この腐れ狸め!』みたいな台詞言ってみたい!」七「あっ、僕も!」と思わぬ方向に…。それにしても勘太郎さんの昼ドラのイメージって、それなの。笑。
「忠臣蔵」で何役もされていたけれど、もう一度やってみたい役は?に勘「できれば全部」とのこと。大変だったのは勘平と判官で、けれども仁左衛門さん、勘三郎さんと、勘平役者が揃う中やらせていただいたのはプレッシャーもあったけれど、非常にやりやすかった、とおっしゃられていました。何故かと問われると「勘平は本当に大変な役なのですが、それをやったことがある方が脇にいてくれると、手を出したところにすでに(受ける)手がある、というような、間の取り方などがすべて行き届いていて、非常にやりやすかった。支えていただきました」と。勘太郎さんの勘平は、私は中村座では見れなかったのですが、浅草で観たとき良かったからなあ。中村座でも観たかった。。
そして、小さな男の子から「間違えたり忘れたりしたときどうやってごまかすんですか?」とこれまたストレートな質問。勘「これはねえ…堂々としてるんですよ!そしたら間違ってないように見えます!」ということです。そしてここで「ごまかすのがうまい、小山三さん!」といきなり、幕の影にいた小山三さんを舞台に連れ出し、意見を伺うお二人(笑)。「話の筋がね、わかってれば、大丈夫なんですよ!うまくごまかすんですよ!」と小山三さん。このときの小山三さんの、ちょっととぼけた受け答えがとっても楽しくて、場内大喜びでした。

最後に、来年1/10からロードショーの勘太郎さんの主演映画「禅」のPR。これは前売り券をロビーでも販売していました。
今回買ってくださった方には、特典として勘太郎さんの直筆サイン入りのクリアーファイルを下さるそうで、勘太郎さん「お昼も食べないでサイン書きました!」と嘆くと(昼の部では用意した分が足りなくなったそうで)武藤さんに「映画のチケット売るのはそれだけ大変なんですよ」と窘められ「はい。そうですね」。やっぱり、親戚のおばさんみたいでした(笑)。
そんなに大変だった、勘太郎さんのサインが欲しくて、私も前売り買ってしまいましたー!笑。

…ということで、本当は楽しいお話がもっともっとあったのですが、とりあえずのご報告。
なんだか本編(?)よりミーハー談義が長くなりました。これが私の本懐であります(笑)。

« 「『源氏物語』の色辞典」 | トップページ | ハニー・ハニー・ハニー »

コメント

>yaeさん、コメントありがとうございますhappy01
中村屋さんは、他所での活躍も多いですものね。5月はご兄弟は南座のようですし。歌舞伎座には年に2,3回…というところでしょうか。納涼はここのところ中村屋さんが定番になっていますので、今から楽しみですね。

芸談、武藤さんが近しい間柄の方ということもあり、とても楽しかったです。ぶっちゃけ話も聞けて…これもご兄弟の巡業の楽しみのひとつですbleah
踊りは、ここのところ本当に進境著しいお二人ですので、とても楽しめましたし、小山三さんのお元気なお姿を見れたのも嬉しゅうございましたわ♪

mamiさん、おはようございます。
残念ながら、今年は行けなかったので・・詳細レポ楽しく読ませて頂きました。

私自身は中村屋兄弟には歌舞伎座に出てほしいなあ・・と、どうしても思ってしまうのですが。
踊りも充実していたようで、良かったです。

武藤まき子さんが司会だったんですね~余計に行けなくて残念!楽しそうな雰囲気が伝わってきました。
ありがとうございました!

>SwingingFjisan様、コメントありがとうございますhappy01
うふふ、踊りももちろん良かったのですが、芸談、今年は司会の武藤さんがお上手で、おふたりもとてもリラックスしてお話されてましたheart04
去年のシビックのときは、ほとんどお父様の映画の話になっちゃって、おふたりの話が聞けなくて不満だったので…bleah今年は楽しかった!
ちなみに、台詞を忘れたときのごまかし方は、全くしゃべらなくなる人と、なんでもいいからたくさんしゃべる人の二派に別れるそうです。扇雀さんは後者のタイプで、あるとき勘三郎さんがもう腹を切ってるのに、台詞を忘れて3分近くしゃべっていたとか。笑。
いろんなお話が飛び出して、とても楽しゅうございました〜happy02

詳しいレポ、ありがとうございますsign03
国立のあとハシゴも考えていたのですが、無理をしないことにして、泣く泣く諦めたのでした(去年と違って、近場はシビックしかないんですよねdespair
mami様は去年もシビックにいらしたからきっと今年も、と期待しておりましたwink
芸談、とってもたのしく拝読しました。私もどちらかというと、こちらが本編と思っておりまして…coldsweats01 去年の和光の芸談より楽しそうだなぁ(ヒガミです)。
そういえば、去年(ってまた、去年の話ですね)の錦秋公演のときは、勘三郎さんの映画のチケット売っていましたねsmile

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/106794/25887808

この記事へのトラックバック一覧です: 勘太郎七之助特別公演:

« 「『源氏物語』の色辞典」 | トップページ | ハニー・ハニー・ハニー »

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

お気に入り☆BOOKS

  • 小川洋子: 「ブラフマンの埋葬」
    ブラフマンという不思議な生き物に関わった私の、ゆるやかな変化の物語。
  • 吉本ばなな: 「デッドエンドの思い出」
    シアワセとフシアワセの境目ってなんだろうかと、そのボーダーラインの不確かさはむしろシアワセな贈り物なんじゃないかと思わせてくれた作品。
  • 駒形克己: 「空が青いと海も青い」
    ぜんぶ広げると1枚の紙になってしまう、不思議な絵本。広げたり畳んだりしてみるとまた、構成が変化しておもしろい。書いてあることは、一言なんだけどけっこう科学的。
  • イワサキユキオ: 「Say Hello! あのこによろしく」
    どのページを開いても、満面の笑顔になっちゃう。笑顔なのに、ウルウルしちゃう。子犬たちの成長が、愛情たっぷりの写真で綴られています。
  • 川上弘美: 「椰子・椰子」
    ありえなさそうなんだけど、ありえちゃうような不思議な日々を淡々と過ごす「私」のへんてこりんなお話。山口マオさんのイラストも可愛い。
  • 西岡常一・小川三夫・塩野米松: 「木のいのち 木のこころ 天・地・人」
    寺社建築に携わる二人の宮大工の棟梁のお話。宮大工という未知の世界の話はとても興味深く、また「真」をみるということは万事共通なんだと感じ入りました。

最近のトラックバック

無料ブログはココログ