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2009/01/15

浅草歌舞伎一部の感想カンタンに…

1月14日 新春浅草歌舞伎 一部 @浅草公会堂

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一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
今回は、ふだんは滅多に上演されない「曲舞」があるということで前評判が高かったのですが、実は私はこの演目を観るのは初めてで、個人的にはそのありがたみがいまひとつ薄くcoldsweats01。けれども踊りの良い亀治郎さんの、踊っている姿を多く見ることができるのは大歓迎、楽しみにしておりました。
まず広盛(男女蔵さん)と勘解由(亀鶴さん)が登場し、物語の状況背景を説明する台詞のやりとり。お二人ともお声がよくとおり堂々としていて舞台が大きく見えます。
そこに登場した「作り阿呆」大蔵卿の亀治郎さん、呑気な阿呆ぶりで大変に笑わせてくれます。
どうしてもと広盛を引き止めて始めた狂言舞のうちに、両者の刀をへらへらとしながら巧みにかわしたり、時々「きっ」とした表情になるなど、「阿呆」は装っているだけ、というふうを観客に見せてくれます。
この緩急はとてもめりはりがあって面白く、また亀治郎さんの踊りは非常にきりっとしている。なので実際これが敵方に見えていたらすぐに「作り阿呆」であることは悟られてしまうのでしょうが、そこは舞台の決まり事。観客に悟らせる表現は、舞台の上の人にはばれていないんですよねcoldsweats01
この曲舞は、その緩急の表現も、踊りのめりはりとしても、たいへん見応えがあり楽しませていただきました。

後半、常盤(七之助さん)登場。さすがに若い。このときの常盤はやっぱりもっと「ものの分別のついた大人の女性」であってほしい。ちょっと、お嬢さんみたいでした。が、自分の内なる企みを吐露する台詞のくだりはとてもよかった。感情がよいぐあいにのっていたように感じました。
鬼次郎(勘太郎さん)とお京(松也さん)なんともお似合いではないですか。鬼次郎が常盤を詰問するところも忠義にあふれ直情的な鬼次郎の性質がよく出ていました。
これを密告しようとする勘解由を刺したのがさきの阿呆の大蔵卿、ここで「阿呆」は嘘だったのかと、舞台の上でもはっきりとわかります。実をいうと先の曲舞のときの緩急が印象強かったので、ここで本性を現す効果が少々薄かったような気がいたしますが…。
物語の展開としては非常にわかりやすい。
場をおさめそれぞれの人物に今後の動きを指示すると、「まぁ当分はこのままで行きましょうよ」とばかりにまた「阿呆」のふりに戻ってしまうさまは、また笑えました。

前半の印象に比べ後半がやや弱かったかなと思いましたが、そこにかけるエネルギーの比率、とても難しいのでしょうね。(亀治郎さんも、インタビューで「さじかげんが難しい」と仰ってますしね)このあたりの亀治郎さんのバランスのとりかたに、大いに舞台が左右されそうです。
これもまたどのように変化していくのか、あるいはさせないのか、今後が楽しみであります。

土蜘
こちらは勘太郎さんの力量にかかっているであろう松羽目ものの舞踏劇。
胡蝶(七之助さん)の舞がはんなり美しかった。その後花道すっぽんから、何時の間にやら登場していた僧・じつは土蜘(勘太郎さん)の表情が、なんとも無気味で暗くて、震えるような恐ろしさ。陰にこもっているというか、人間でないものの空気感を漂わせていました。
音若がこれを怪しいとにらみ斬りつけると、僧は本性を現し蜘蛛の糸を投げ付け逃げていく。
この後頼光と四天王が、頼光の病は土蜘の障碍であったことを悟り、あらためて土蜘をおいつめていくのですが、このくだりが実はちょっと長く感じてしまいました。何故か?構成かなと思います、土蜘が土蜘として登場している時間的なインパクトを、私自身がもっと求めていたのかもしれません。

ともあれその後、土蜘は本性を現した姿で再登場。このときの勘太郎さんがまた恐いのなんの。
なんというか、湿度があるのですよ。勘太郎さんの周りだけ、気温が低く感じるのですよ。妖気じみていて…ああ恐ろしい。
立ち回りはとても緊迫感があり見応えがありました。
なんといってもこの演目は、勘太郎さんの湿った、暗い、恐ろしさに集約されると思います。その存在感、空気感…これが出ていたことが、ひとかたならぬもの凄いことと感じました。


…以上、簡単ですがいちおう感想でした。
一部、二部ともに、千穐楽にもう一度拝見します。舞台がどのように成長しているのかとても楽しみです。

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