8月5日、江戸東京博物館で行われた「ボストン美術館 浮世絵展」記者発表会 に行ってまいりました。
「記者」でもなんでもない私がこのイベントに参加できたのは、亀治郎さんのおかげです。うふふー
亀治郎さんは浮世絵コレクターとしても有名で造詣も深いので、このたびのイベントのパネルディスカッションにゲストとしてご出演。そのため、私のような一介のファンも、その席に行かせていただけたというわけです。浮世絵大好き、2年前の江戸東京博物館での「ボストン美術館展」にも行っている私にとっては、大好きな亀治郎さんから浮世絵のお話を聞けるなんて、願ってもないことなのでございました
前半は、江戸東京博物館館長の竹内さんと、美術評論家で葛飾北斎美術館館長の永田さんのご挨拶とお話。
このたびのボストン美術館展は、3回に分けて開催される予定で、一回目の今回(10/7〜11/30)は、浮世絵全体の流れ・歴史を踏襲した内容で、全容を紹介していくというもの。そして、予定としては2回目・3回目でそれぞれテーマを絞って(例えば作家別とか時代別とか)展示していくということでした。
今回のなによりの目玉は、スポルディングコレクション。これはアメリカの収集家であるスポルディング兄弟によるコレクションで、その保存の状態や、兄弟の収集眼の確かさから、質が高く年代的にもバランスが良いそうで、たいへん貴重なものだそうです。その点数は実に、ボストン美術館の浮世絵保存点数(50,000点)の1割以上を占めるとか。
また、この兄弟が、保存状態の維持のために一般公開を禁止したことから、現在ではデジタル化された画像でなら見ることができるそう。その中から数点の「書籍」を貸出してもらうことに成功したのだとか。(これは公開禁止のカテゴリーのものではないらしい)
また今回公開される浮世絵は150点ほどだそうで、年代も多岐にわたり、とても貴重なものだそうです。
さて後半は、お待ちかね、前出のお二人と亀治郎さんによるパネルディスカッションです。亀治郎さんのお話中心に
ご紹介。
そもそも亀治郎さんと浮世絵の出会いは、中学生くらいのときに海外公演で行ったロンドンの蚤の市で、ひいひいおじいさんが描かれた役者絵に出会ったことだそうです。
それ以来、なんとなく興味を持っていくうちのめりこんで、今では役者絵に絞って、1500点あまりの作品をコレクションするに至ったとか。
選ぶ基準は、価値が高そうとか貴重だとかということではなく、「パッと見て気に入った構図」だそうで、これは歌舞伎の演技の参考になることもあるし、逆に違う点を発見することもあるということ。
そのうちに、このコレクションで、江戸東京博物館で展覧会を開いてください、いや、市川美術館をつくってください、なんて竹内館長と永田さんに言われていました(笑)。でもこれ、本当に実現するといいですよねえ。
また、今回の展覧会の出展作の中でお気に入りはなんですか、と聞かれ、次の三作品を挙げていました。
(1)歌川国政「市川鰕蔵の暫」
これは、今回のボストン美術館展のポスターにもなっているもの。
なぜこれが好きなの?と聞かれ、構図の良さ・大胆さと、実際にはありえない(できない)格好なのに動きがあってリアルであるという二点を指摘。
それを受けて永田さん、「止まっているのに伝わるものがあるのが浮世絵の素晴らしいところです」また竹内館長も「この絵の原画を見ればわかっていただけると思うが、線の描写・色の付け方どれもリアルではない。なのにかもし出されるものはリアル。ことにこの目の中に、水色で表現されているラインがあって、それが出色なんです」と。
ぜひ原画を見て、その「水色」を確認したくなりますね。
(2)喜多川歌磨「青楼仁和嘉 女芸者之部 扇売 団扇売」
3人の芸者が描かれている絵ですが、こちらも構図がお好きだそう。この3人の入り方、ポーズ、どれをとってもこれ以外のものが考えられないくらい隙がない。また、この印刷方法が「雲母刷り」というお金のかかる印刷で、売れている作者のものにしか使われていない手法で、それが貴重とのこと。
「これ以外考えられないくらい隙のない構図」という亀治郎さんの表現にびっくり。確かに、そういう構図・レイアウトというのはありますが、稀にしか存在しないし、それを見分けられる人って滅多にいないと思うので。
(3)葛飾北斎「冨嶽三十六景 山下白雨」
富士山の絵ですが、構図も変わっているし色も赤紫?亀治郎さんいわく「おどろおどろしい色」。で、右下に線が入っているのですが、これは自分なら絶対に入れられないが、そこが凄い、と。
先生方解説によると、この「線」は稲妻で、この一枚の絵には4つの気象が表現されている。つまり、富士山の山頂付近は快晴、中腹には雲、麓は夏の夕立ち。そして山麓の稲妻。だそうです。
こんなことに気付いて絵にできるなんて、北斎って、あらためて凄い。
また、さいごに、浮世絵のような素晴らしい宝を、自分達で価値を見いだせずに海外に流出させてしまったのは非常に残念だけれども、逆に海外でとても大切にされ保存していただいたことを感謝して、自分達の宝をまた、ちがった方向から守っていきたい、とも仰られてました。
ほんとうに、まさにそのとおりです。
今日のこのお話を聞いて、その背景を思い出しながら亀治郎さんのお気に入りを鑑賞したら、この美術展も数倍楽しく見れそうです。
また、館長の竹内さんによると、江戸東京博物館で展示をするからには、普通の美術館とはひと味違って、その作品の時代背景とか、風俗とか、時代性などを、少しづつでも紹介していって、作品鑑賞の深みを増していきたい、ということでした。
なるほどそれは興味深そうです。
ということで、お話の内容はだいぶはしょっていますが、たいへんに興味をひかれた記者発表。
亀治郎さんの「お気に入り」をぜひ見てみたい。浮世絵の変遷にもぜひ触れてみたい。10月からの展覧会にはぜひ足を運びたいと思った次第であります。

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